新型コロナウイルス感染の第2波に見舞われるスイスで、現状を悲観的にとらえている国民が増えていることが、6日発表の世論調査で分かった。
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スイスの世論調査会社ソトモがスイス公共放送協会(SRG SSR)の委託を受け、第1波が到来した今年3月から定期的に実施している。5回目となる今回のオンライン調査では、病院システムの崩壊、経済状況、社会での対立の増加、隔離、連帯意識の欠如などについて3月時点よりも強い不安が広がっている傾向が出た。
国内の感染状況はここ数週間で急速に悪化している。過去14日間の人口10万人当たりの感染者は1162人(5日時点)を超え、世界で最も被害が深刻な国の1つとなっている。
個人的な不安について尋ねたところ、回答者の55%が、政府の感染予防対策に伴う個人への自由制限措置が心配だ、と答えた。
またヘルマン氏によると、社会的孤立や家族内不和を懸念する人が過去4カ月で増えている。今回の調査では、10月に第2波が到来したことを受け、自身の健康に不安を感じる人が目立った。
経済は楽観的
調査によると、経済状況を憂慮する声はそれほど目立たなかった。ヘルマン氏は、3月~6月の最初のロックダウン(都市封鎖)が比較的うまく行ったことが要因かもしれないと指摘する。
ただヘルマン氏は「全体的には、人々の意識傾向は明らかに悪化した」と言う。「不信感、利己主義、攻撃的な態度など、今年春の第1波の時に見られた連帯や友情などの価値観を押しのけてしまっているようだ」と話す。
他者を助け、人と接触する意欲も薄れている。連帯意識を示そうと考える人の割合は、最初のロックダウンが始まった3月時点よりも低かった。
また調査の担当者によると、人々の意識傾向はドイツ語、フランス語、イタリア語の3つの言語圏で違いがある。15〜24歳の若者は65歳以上の人々よりも対処に苦労している傾向がうかがえるという。
信頼と自己責任
ヘルマン氏によれば、多くの回答者が「自己責任」を非常に重要視しているようだ。
ヘルマン氏は、最低限の対人距離が取れない場合にマスクを着用することは、政府が着用を義務化する以前から一般的に受け入れられていたと話す。
また、政府と経済界は短期間の厳しいロックダウンで最大の感染防止効果を図る「サーキットブレーカー」を回避する方針を明示したが、回答者のかろうじて過半数は、こうした短期間のロックダウン実施を求めたという。
さらに、多くの人々が、政府の政策ではなく感染者数や入院者数の増加を理由に、行動を変える意思があると回答した。ヘルマン氏は「スイス国民は政府の命令を待つつもりはない。(中略)だが、規制が打ち出されれば、それに従い適応する意思もある」と説明する。
その意識傾向は、世論調査結果にも現れている。10月時点で、政府の危機対応への信頼度を「強い・非常に強い」と答えた人は37%にとどまった。しかし、調査期間中の10月28日に政府が新たな制限措置を発表したのを受け、今回の調査では44%に上昇した。
ただ3月時点の60%超と比べると、落差は顕著だ。
世論調査会社ソトモがスイス公共放送協会(SRG SSR)の委託を受け、10月23日~11月2日、国内のすべての言語圏に住む4万2425人を対象にオンラインで実施した。
誤差の範囲は+/- 1.1%。
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