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湖に投棄された第二次大戦中の不発弾、水質に問題なし

不発弾
不発弾の投棄は1920年代に始まった VBS/DDPS

スイス国内の湖に投棄された約8千トンに及ぶ第二次世界大戦時の爆弾、手りゅう弾などの爆発物について、連邦国防省は調査の結果、湖の水質に影響は出ていないと発表した。

国防省は最新の環境モニタリングレポート外部リンクを公表。爆発物が投棄されたトゥーン湖、ブリエンツ湖、ルツェルン湖、ワーレン湖から2019年に採取した堆積物を調べたところ「水中の不発弾は水質に悪影響はない」という。2016年の調査時も同様の結果だった。

スイス軍は1948~1967年、トゥーン湖、ルツェルン湖、ブリエンツ湖、ワーレン湖に推定8120トンの爆発物を投棄した。民間企業もチューリヒ湖、ルツェルン近郊のロート湖、レマン湖に軍需品を投棄した。

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スイスで次々見つかる不発弾

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの湖底やアルプスの地下に眠る第二次世界大戦時の爆弾、手りゅう弾などの爆発物処理は、スイス政府の積年の悩みでもある。

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古い弾薬や手りゅう弾を湖底に沈めて処分するという手法は1920年代に始まった。それが第二次世界大戦後、未使用の武器や弾薬が大量に余ったことで加速した。

2005~2010年にかけて、政府は湖のモニタリングと調査を強化。2012年以降、土砂と水のサンプルを定期的に調査し、対象の湖ではいずれも汚染が生じていないという結果が出た。不発弾の回収は地元住民や請負業者に危険が生じ、環境へのダメージも懸念されるという。

今回の調査では、湖底から長さ1.5メートルの堆積物サンプルを採取。ニトログリセリンなどの爆発性物質、鉛や水銀などの重金属が含まれていないかを調べた。

有害物質の濃度は、土砂サンプルの大部分で該当値に達しなかったという。弾薬から出た爆発性物質の痕跡がごくわずかにサンプルから検出された。

国防省は、今後10年に1回の頻度でモニタリングを行い、水質検査は5年ごとに実施する。

ジュネーブ政府は昨年、1950年から1970年の間に、民間企業Hispano-Suizaがレマン湖に投棄した軍需品の調査を開始すると発表した。投棄場所は市中心部からそれほど遠くない場所にある。

ベルン州ミットホルツ村では今年2月、付近の地下倉庫に保管されている3500トンの爆発物を除去するため、政府が住民170人に10年間の村外避難が必要だと通達した。

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