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ミナレット建設反対その後



「イスラム教徒は、自分たちはスイスの普通の市民であり、危険ではないことを説明していかなくてはならない」とラティオン氏は語る

「イスラム教徒は、自分たちはスイスの普通の市民であり、危険ではないことを説明していかなくてはならない」とラティオン氏は語る

(Keystone)

イスラム教寺院のミナレット( 尖塔 )建設反対のイニシアチブが11月29日の国民投票で可決され3週間が経過した。今、政府はイスラム教のさまざまなグループを統合し「傘」となる組織の創設を提唱する。

しかし、ローザンヌ大学でスイスのイスラム教徒研究を率いるチーフ研究者ステファン・ラティオン氏は「現在イスラム教グループを統合化するのは本末転倒。大切なのは、イスラム教徒とスイス国民との日常レベルでの関係を強化することだ」と話す。

スイス国民からの理解

さらにこの関係強化には
「野外イベントや宗教についての討論会などを企画するのではなく、もっとスイス国民と話し合いの場を持ち、またイスラム教徒のグループは ( スカーフの着用やラマダンなど ) 社会面での出来事に対する独自の立場や考えを表明していくことだ」
 とラティオン氏は言う。

 ジュネーブにあるグループ「アントゥル・コネッサンス ( Entre-Connaissance / 相互理解 ) 」事務局長ハフィッド・ウアディリ氏は
「多岐にわたるイスラム教徒のグループを統合することは、長年温められてきた構想だ。しかしだからと言って今、草の根運動もせず、また共通する理念もなくこうした『傘』を作ることはできない」
 と言う。

 一方、スイスの最大規模グループの一つ、「イスラム組織連盟 ( Federation of Islamic Organization ) 」の会長ヒッシャム・マイザール氏は、フランス語圏の日曜紙「ル・マタン・ディマンシュ ( Le Matin Dimanshe ) 」で、こうした統合組織の必要性を強く訴え、「スイスの国レベルで統合する組織ができれば素晴らしいことだ。しかしそれには、長いプロセスが必要になるだろう」と述べた。
 
 スイスには人口約700万人に対し、イスラム教徒が35万人から40万人占め、総人口の4.5%にあたる。またイスラム教徒のほぼ9割がトルコ、ボスニア、コソボ出身で北アフリカ、中東などのイスラム教徒もいる。

 ラティオン氏によれば、イスラム教徒はさまざまなグループに属し、ほとんどが州内にとどまる小型のグループで、幾つかはアラブ語のレッスンを行っているのか、コーランを教えているのか実際の活動がはっきりしないものもあるという。
「こうした何をしているのか分からないグループは、活動内容を公にするという義務があると思う、そうすることで、スイス国民の理解を得られる」
 とラティオン氏は続ける。

過激なテロリストではない

 イスラム教徒を統合する組織が創設されるのを待つ間、マイザール氏とウアディリ氏は12月22日、エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ司法警察相が開催する国民投票後の話し合いに招待されている。これはイスラム教徒のスイス社会への融合について9月に行われた話し合いに引き続いたものだ。

 両氏はスイス政府とイスラム教社会は「大きな課題」を担っていることを強く自覚している。
「スイス政府はイスラム教徒のスイス社会への融合に問題があることを認識しながら、解決を後回しにしてきた。今後も政府が意識をこの問題に向けて行くよう働きかける必要がある。またわれわれは、過激なテロリストではないことを証明するなどの運動にフォーカスしていく必要がある」
 とウアディリ氏は話す。

 また、両グループは好むと好まざるとにかかわらず、スイスへの融合問題が国民投票を契機に緊急の課題になったことを自覚している。
「討論を行い、スイスの一般の人々にわれわれが安全なイスラム教徒であること、また一緒に共存できることを証明しなくてはならない」

イスラム教徒、政府とも努力

 12月12 日「スイスにおけるイスラム教徒への誤解」を訴える700人の集会がベルンの国会議事堂前で行われた。しかし主だったイスラム教グループは参加しなかった。
「イスラム教徒への偏見や恐れを抱く人に働きかけることは無駄だという意見もあるが、わたしは反対だ。まずミナレット建設への理解を、次いで女性が着けるブルカ ( 頭を含め全身を覆う服 ) への理解を訴えたい。わたしはスイス国籍を持つイスラム教徒。宗教の自由はキリスト教徒、仏教徒などと同等だと思う」
 とスイスの女性イスラム教徒組織の会長、メラニー・ムハックスヘリ氏は訴える。

 イスラム教徒を統合する組織の創設に関しては「昔から議論してきた課題だが、最終的には誰も合意しない」とムハックスヘリ氏は話す。
  
 スイス国民であるラティオン氏にとって、今後何をすべきかということは明らかだ。
「イスラム教徒は、自分たちはスイスの普通の市民であり、危険ではないこと、またスイス国民が彼らに恐れを抱くのは、誤った思考だということを説明する努力を続けて行くことだ」
 と確信する。

 一方、「スイスの政治家たちは、正しい方向性を持って仕事をしなかったことを公に謝罪すべきだ」とも考える。また、この謝罪は過去3週間にも行われなかったと続ける。
「国民投票の結果、スイス国民はある意味で ( イスラム教徒の融合問題に ) 目覚めた。今こそ本当の議論を開始するときだ。しかし中道右派政党などから、危険なポピュリズムが登場しつつある」
 と話す。

サイモン・ブラッドレー、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、里信邦子 )

イスラム教徒とイスラム教寺院 のミナレット( 尖塔 ) 問題

スイスは、イスラム教寺院 のミナレット建設を禁止したヨーロッパで初めての国。

11月29日、ミナレット 建設反対のイニシアチブが国民投票で57.5% の賛成で可決された。

ドイツ語圏での数基のミナレット建設計画が、イニシアチブを可決に導く一つの要因になった。建設予定地域の人々が建設反対の署名を集めていたからだ。

そうした動きが右派政党の国民党 ( SVP/UDC ) の支持を得た。

スイスにおけるイスラム教徒は35万人から40万人で、人口の4.5%を占める。

スイス国内にはイスラム教徒のためのおよそ200のモスクと礼拝所がある。ミナレットは4基ある。

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