スイスの動物アイベックス、州の収入源に

オスのアイベックス(右)はメスのアイベックスよりもはるかに大きい角を持つ © Keystone / Anthony Anex

スイスアルプスで一度絶滅したアイベックス。見事な角で知られるこの動物が、スイス西部で貴重な収入源になっている。

このコンテンツは 2019/11/12 15:30
François Ruchti(RTS)

フランス語圏のスイス公共放送(RTS)によると、ヴァレー(ヴァリス)州はアイベックスのハンターたちに販売する狩猟許可証(1日有効)、またアイベックスの角など「戦利品」に課す高額な手数料で、年間約65万フラン(約7150万円)の収入を得ている。

1メートルの角を持つアイベックスの手数料は1万3千フランで、1センチごとに500フランが加算される。最も見栄えのよい個体は2万フランにもなる。州は年間約100件の狩猟許可を出している。

収入を得ているのは州だけではない。旅行会社は許可取得の代行や宿泊場所、ガイド付きのアイベックス狩猟ツアーを販売。RTSは、以下の映像をテレビとインターネットに流した。アルドン近くに来た米国人ハンターにスポットを当てている。

RTSとのスカイプインタビューで、米国人ハンターのオリビア・オプレさんは「アルプスで素晴らしい冒険ができました。野生動物のレンジャーにガイドしてもらい、動物を狩りだしました。大きくて力の強いオスのアイベックスを撃ったんです。友人のデニスは2頭。うち1頭は1メートルを超す個体でした」と語った。

オプレさんは自身のフェイスブックページに狩猟体験の写真を投稿した。

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野生生物が専門のスイス人フォトグラファーはRTSのインタビューで、成熟した繁殖期のオスが最も人気のある獲物であることに触れ、こうした狩猟の慣習は好ましくないと批判した。

ヴァレー州狩猟局のペーター・シャイブラー局長はRTSに対し、問題はないと語った。シャイブラー局長は、狩猟で射殺されるのは年老いた動物だけだと言い「多くはどちらにしろ冬を越せない」と話した。アイベックスを狩猟エリアにおびき寄せるため、塩をなめる場所を設置することをどう思うかについては、それがこの動物にとっては「必須の栄養補助食品」だと話した。

ハンターたちが持ち帰るのはアイベックスの頭だけのため、胴体はその場に放置され腐敗したり、他の野生動物に食べられたりする。オスのアイベックスは体重70〜120kgで、ハンターが頭部のない胴体をヘリコプターで運ぶことは認められていない。

アイベックスがロゴになっているスイスの自然保護団体プロ・ナチュラは、アイベックス狩りを無意味だと非難する。同団体の広報担当者はRTSに「ヴァレー州と狩猟全般に悪いイメージを与える。動物を本当に規制する必要があるなら、それはレンジャーの仕事だ」と話した。

オンラインプラットフォームChange.orgでは、アイベックスの狩猟禁止を求める請願の署名集めが始まった。これまでに3万筆以上が集まっている。

アイベックスの数

現地の狩猟管理者の統計によると、ヴァレー州は毎年、11歳以上のアイベックスのうち36%を処分している。フランス国立科学研究センターの研究責任者ジャン・ミシェル・ガイヤールさんは、割合は非常に高いと指摘する。 「長い角を持つアイベックスが最も年齢が高い。これらの強力なオスは繁殖の個体だ。若い個体ではない。あまりに多くの個体が処分されると、群れのバランスが脅かされる」と、ガイヤール氏はRTSに語った。イタリア、フランスでも、アイベックスは保護種に指定されている。

ヴァレー州狩猟局は、州内の個体数は好調だと話す。アルプスには約4万頭のアイベックスがおり、うち約1万7千頭がスイスに生息する。

RTSのその後の報道で、地元の狩猟政策を担当する政治家のジャック・メリー氏は4月以降、アイベックスの狩猟禁止の是非を議論していると述べた。

メリー氏は「それでも州内では年間450頭のアイベックスを処分する必要がある」とした。州内の生息数は20年前の約3千頭から現在は約5千頭に増加したという。

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