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行政機関の情報公開、遅々として進まず

基本的には公開されている行政機関の文書 Keystone

行政機関が所有する情報の開示を定めた情報公開法がスイスで発効してから5年。しかし、情報公開を取り巻く環境は今でも基本的には変わっていない。

このコンテンツは 2011/09/09 15:00
アンドレアス・カイザー, swissinfo.ch

国民側からの働きかけにおいても、またメディア上でも何ら変化がないことが、専門家会議のまとめでわかった。

「職業訓練に関する情報なら問題なく入手可能だが、国会議員が使う諸経費については情報が入ってこない」と、ドイツ語圏の日曜新聞「ゾンタークス・ツァイトゥング(SonntagsZeitung)」のリサーチデスク担当マルティン・シュトル氏は不満を漏らす。

情報公開法に関するシンポジウムでシュトル氏は、「政府の行政機関は数年前に比べて多くの公文書をインターネットで公開している」と評価する一方、「情報の透明化に対し、まだ非常に抵抗のある」行政機関が存在すると批判した。

スイスは2006年、行政機関における公文書公開に関する法律を制定。この法律の下では、特定の機密文書は非公開文書として分類されるが、それを除くすべての公文書は基本的に公表される。しかし、情報公開法施行以前はその反対で、公文書はすべて非公開で、開示には機密保持取り消し申請が必要だった。 

行政への信頼向上を目標に

情報公開法の目的は、「国民と国との関係を改善し、行政機関の仕事に対する評価を向上させること」だと、ディルク・ヘルブリング社会学教授は語る。

公表を控えることは基本的に「(国民から行政への)信頼を損なうことにつながる。これはアラブ諸国の例を見れば明らかであり、金融機関に対する市場の不信感にも表れている」。

ヘルブリング氏はまた、スイスの行政機関では汚職は他国に比べ少ないことを言及する傍ら、「行政機関へのチェックを強めれば、汚職撲滅にもつながる」と情報公開の重要性を強調した。

変わらぬ状況

連邦司法警察省司法局(BJ/OFJ)のルチウス・マーダー副局長は、情報公開法が施行された後の状況を「全体的に良い」と評価している。「開示要求が行政機関に殺到するのではと危惧されたが、実際にそういうことは起こらなかった。状況が抜本的に変わったという感じではない」 

一方で、マーダー氏は行政側の意識改革は全く進んでいないと述べ、「行政機関はいまだ機密主義の傾向が強い。情報の透明化や公表にさほど敏感ではなく、それが残念だ」と続けた。中道右派の急進民主党(FDP/PLR)のルエディ・ノーザー議員も同様の意見だ。「行政機関がすることは基本的に公のことなので、今日でなくともいつかは歴史に現れてくる」とし、行政機関は情報公開推進にさらなる努力を行うべきだと語った。

「(情報公開法施行後の状況は)まずまずといったところ」と話すのは、連邦情報保護・透明性維持担当課(EDÖB/PFPDT)のハンスペーター・トゥール氏だ。「法律が情報の透明化を促したというより、むしろ社会が透明化を促進する傾向が強くなってきている。ウィキリークスがターゲットにしたのは、機密性が高いと言われていた機関だった」

目標達成まで3年以上

フランス語圏の日刊紙「ラ・リベルテ(La Liberté)」で政治記者だったエリーク・ロイマン氏は、行政機関の一部が透明性よりも機密性を重視しようとした事例を記している。

当時司法相だったクリストフ・ブロッハー氏が現財務相のエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ氏に連邦閣僚選挙で敗れ、再任できなかった際、ブロッハー氏が指名した連邦司法警察省(EJPD/DFJP)の事務局長も同時に解任された。ロイマン氏は情報公開法に基づき2008年2月、連邦司法警察省に解任時の報酬の内容公開を要求。しかし、同省は情報開示を拒否し、連邦行政裁判所も同様の判断を下した。

ところが、上級裁判所の連邦最高裁判所ではロイマン氏の訴えが認められ、連邦司法警察省に情報開示が命じられた。これでロイマン氏と新聞社の望みがかなったかに見えたが、この先さらに裁判が続き、要求していた情報が入手できたのはは2011年4月。およそ3年3カ月が経過したため、この出来事は時間と共に風化してしまった。

情報公開法

2006年7月1日施行。

この法律により、公文書取扱いの原則が機密保持から情報開示へと変わったため、公文書の閲覧が簡単になった。

公文書閲覧は誰でも申請ができ、特定の理由を明示する必要はない。閲覧には、希望する公文書を作成もしくはそれを管理する行政機関に申し込む。公文書はその場での閲覧も、コピーを取ることも可能。申し込みには手数料がかかる。

公共もしくは個人の利益が著しい場合、その保護として公文書公開に一部規制がかかったり、公開そのものが拒否されることがある。

その例として、情報を公開することで行政機関の言論の自由や意思形成が損なわれる場合や、スイスの国内外の安全が脅かされる場合などが挙げられる。

行政機関が情報公開を拒否または一部拒否する場合、申請者は連邦情報保護・透明性維持担当課(EDÖB/PFPDT)で調停申請ができる。

情報公開法は、連邦行政機関、連邦議会事務局、または連邦行政に関する任務を行う機関に適用される。

ただし、スイス国立銀行(SNB/スイス中銀)および連邦銀行委員会(EBK/CFB)は適用外。

出典:連邦司法警察省(EJPD/DFJP)

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