スイスの視点を10言語で

マッターホルンの麓町ツェルマット、日帰り客に入場料を検討

マッターホルンを望む展望台
マッターホルンを望むゴルナーグラート展望台ホテル Keystone

スイスを代表する名峰マッターホルンの麓町ツェルマットは、日帰り観光客の多さに悩んでいる。 現在、入場料の徴収を検討中だ。

イタリアのベネチアは今年、オーバーツーリズム(観光公害)対策として日帰り観光客への入場料を試験導入した。ピーク期間の数週間、特定の時間帯に旧市街を訪れるには5ユーロを支払わねばならなくなった。

ドイツ語圏のスイス公共放送局(SRF)によると、ツェルマットでも現在、同様の入場料が検討されている。

swissinfo.chのサイトで配信した記事をメールでお届けするニュースレター、登録(無料)はこちら。 

環境対策に充当

自治体と観光局のメンバーが昨春ワークショップを開き、日帰り客への入場料について話し合った。 ホテルや貸別荘にお金を落とさない客からもお金を徴収することで、観光客により長く滞在してもらう狙いがある。

入場料は12フラン(約2000円)を想定する。ツェルマットにの宿泊客が支払う観光税3日分に相当する。

支払いはアプリを通じて行われ、収益は自治体の持続可能性基金に充てる。ワークショップの資料によると、ツェルマットに1日しか滞在しない人々が持続可能なプロジェクトに資金を出す形になることから、このプロジェクトは「グリーンタグ(Green Tag)」と呼ばれている。

運送業者や職人は対象外となる。ツェルマット住民を訪ねる人にも入場料は課されない。

法的課題を検証中

関係者によると、入場料を検討するきっかけになったのは住民の不満だ。大半の住民にとって、観光客の多さが負担になっているという。

現時点では何も決まっていないが、議論は続いていると複数の関係者がSRFの取材に答えた。

ツェルマット観光局は、「対策を常に検討している」との回答にとどめた。ただSRFの取材で、現在入場料の法的な問題点を洗い出していることが明らかになった。

おすすめの記事

10言語で意見交換
担当: Veronica DeVore

体験談募集:観光公害に苦しむスイスの人気観光地はどうすべき?

「オーバーツーリズム」に遭遇して嫌な思いをしたことはありますか?こうした問題には、どのような対策をとるのが効果的だと思いますか?

6 件のいいね!
71 件のコメント
議論を表示する

英語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

事件現場

おすすめの記事

チューリヒ、ナイフで園児襲撃、複数男児けが 中国人男を逮捕

このコンテンツが公開されたのは、 チューリヒ市北部で1日午後、路上を歩いていた幼稚園児の集団に男がナイフのようなもので切りつけ、子ども3人が負傷した。チューリヒ市警察は中国人の男(23)を逮捕した。

もっと読む チューリヒ、ナイフで園児襲撃、複数男児けが 中国人男を逮捕
氷河

おすすめの記事

氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化

このコンテンツが公開されたのは、 スイスはイタリアとフランスとの国境を変更した。イタリアとの国境は氷河の融解、フランスとの国境はジュネーブ地方の新しい路面電車と河川にそれぞれ関連している。

もっと読む 氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化
スイス中銀

おすすめの記事

スイス中央銀行、0.25%の利下げ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中銀、SNB)は26日、政策金利を0.25%引き下げ、1%にすると発表した。

もっと読む スイス中央銀行、0.25%の利下げ
三輪車のレプリカ

おすすめの記事

広島被爆の三輪車レプリカ、ジュネーブで展示

このコンテンツが公開されたのは、 1945年8月6日、広島への原爆投下で被爆し死亡した子どもが乗っていた三輪車のブロンズ製レプリカが、ジュネーブの国際赤十字博物館に展示されている。

もっと読む 広島被爆の三輪車レプリカ、ジュネーブで展示
スイス連邦議事堂前の人混み

おすすめの記事

スイスの人口が900万人を突破

このコンテンツが公開されたのは、 連邦統計局(FSO)が19日に発表した2024年6月末のスイスの永住人口は900万2763人で、初めて900万人を突破したことがわかった。

もっと読む スイスの人口が900万人を突破
時計師

おすすめの記事

苦境のスイス時計業界 政策支援を要請

このコンテンツが公開されたのは、 スイス時計産業は難局を迎えた。スイス製時計への需要が緩み、フラン高が収益を圧迫する。業界は警鐘を鳴らしている。

もっと読む 苦境のスイス時計業界 政策支援を要請
裁判所

おすすめの記事

重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北部アールガウ州で、重度の障がいを持つ娘(3)を殺害したとして、地方裁判所は13日、両親を故意の殺人罪・殺人未遂罪でそれぞれ禁錮8年の実刑判決を言い渡した。

もっと読む 重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス
サニヤ・アメティ氏

おすすめの記事

キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの自由緑の党(GPL/PVL)チューリヒ支部に所属するサニヤ・アメティ氏(32)は9日、党の役職を辞すると発表した。自身のインスタグラムでキリストと聖母マリアを描いた絵画を的に射撃の練習をする写真を投稿し、大きな批判を浴びていた。

もっと読む キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部