氷河崩壊の被災者支援に未回収の旧紙幣を活用 スイス

氷河の崩壊で大規模な被害を受けたスイスのブラッテン村とリート村の被災者支援に、旧紙幣が活用される。新紙幣に交換されないまま眠っている旧紙幣の一部が、中央銀行を通じて被災者に寄付される。

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保険未加入の天災被害を対象とする慈善団体「フォンズ・スイス(fondssuisse)外部リンク」は、ブラッテン・リード村の被災者を支援する団体の一つだ。
旧紙幣に有効期限のない日本とは異なり、スイスでは新紙幣が発行されるとほぼ同時に旧紙幣は価値を失う。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が旧紙幣と同額の新紙幣と交換することで旧紙幣を市中から回収するが、なかには交換されないまま市中に残り続ける旧紙幣もある。
フォンズ・スイスのダニエル・アルニ代表によると、「SNBは、25年経過しても回収されなかった旧紙幣について、その価値と同額の新紙幣を慈善団体などに寄付する」。その一部がフォンズ・スイスにも割り当てられるという。
SNBは先月、未回収分4億フラン(約700億円)のうち1億8000万フラン近くをフォンズ・スイスに寄付した。
フォンズ・スイスは寄付金の一部を、ブラッテン・リード村が氷河崩壊により受けた被害の補償に充てる。保険に加入しておらず、かつ国や他の寄付団体の補償も受けられないことが条件だ。
アルニ氏はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF))で「多くの場合、輸送用道路の修復や農地の回復・耕作が対象となる」と話した。昨年ヴァレー地方やメソ(Mesox)、マッジア谷で起きた暴風雨被害も同様だったという。
ブラッテンやリードのあるレッチェンタールの人々は、この支援を歓迎している。
村議会のクリスティアン・リーダー議長は特に金銭面で多くの懸念を抱えている。「中長期で人々の生活を再建しなければならない。緊急支援も含めて危機管理は現在進行中で、莫大な費用がかかる」
英語からの翻訳:ムートゥ朋子

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