ウクライナでの戦争を背景にした食料価格の高騰への対策を巡り、スイスのギー・パルムラン経済相は労使の賃上げ交渉に任せるべきだとの見方を示し、国による介入を否定した。ロシアに対する追加制裁により、エネルギー価格がさらに上がるとの見通しも示した。
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パルムラン氏は5日付の大衆紙ブリック日曜版のインタビュー外部リンクで「連邦内閣は問題を認識している」と述べた。「今、労使は賃上げについて交渉しなければならない。そこに国家が前もって口をはさむべきではない。ただし連邦政府は必要に応じて、例えば低所得世帯向けの給付などを補足することができる」
同紙は、所得下位10%の収入が2016年比で実質月60フラン(約8千円)減ったとのスイス労働組合連合(SGB/USS)の試算を引用した。中所得者は30フラン(約4千円)の減収だった。健康保険料の負担増を加味すると、平均的な世帯は年間最大3300フラン(約45万円)の購買力を失ったという。
安全なスイスの供給
スイスの食料安全保障は、ウクライナでの戦争に巻き込まれていない。パルムラン氏は「スイスは食料の45%を輸入している。牛乳の生産は十分で、ヒマワリ油は4分の1、食肉は8割だ。ロシアやウクライナから特に多く輸入しているわけではなく、スイスの食料供給は今のところ安全だ。だが間接的には影響を受けており、戦争で特に穀物価格が上昇している」との見解を示した。
同氏はロシアに課された追加制裁によってエネルギー価格が一段と上がる可能性が高いと指摘した。欧州連合(EU)は3日、長い交渉の末にロシア産原油の段階的禁輸に合意した。これによりロシアからEUへの輸出量の9割が禁止される。スイスはEU非加盟だが、対ロシア制裁ではEUの決定に同調しており、エネルギー価格を抑えることはほとんどできないと述べた。
「エネルギー供給の多様化を試みることはできるが、欧州で既成の解決策を備えている国はない。我々にできるのは、エネルギーの使用を抑えることだ。その点ではスイスは順調で、既に効率性が高い」
エネルギー価格の高騰が続けば、政府は特定の産業への支援策を検討する可能性を示した。ただし現段階では必要ではなく、「そのような対策は的を絞らねばならない」と釘を刺した。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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