スイス連邦政府は、大規模な電力供給停止が起こった場合の対応策をまとめたパンフレットを企業3万社に配布した。ドイツ語圏の日曜紙NZZ・アム・ゾンターク(17日付)が報じた。
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは欧州連合(EU)と電力供給に関する協定を結んでいないため、スイス国内外で大規模発電所が機能停止に陥ると、このようなシナリオが国内で実際に起こり得る。
パンフレットによると、電力不足が生じた際は政府が企業に対し、一定の割合まで電力消費量削減を命じる可能性がある。
ただ政府は第一段階として国民への節電を呼び掛け、第二段階でプールやエアコン、エスカレーターの使用を禁止する。経済部門の電力割当は三段階目の措置だ。
同パンフレットではまた、企業に節電への協力を呼びかけている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に加え、電力不足に伴う緊急事態はスイスの供給にとって最大の脅威だ。NZZが報じた政府の試算によると、その経済的損失は1日当たり最大40億フラン(約4940億円)に上る。
ギー・パルムラン経済相は「異常事態における電力供給組織(OSTRAL)」のウェブサイト上に掲載されたビデオ外部リンクで、電力不足が数週間から数カ月に及ぶと「工場での生産量が減り、公共機関や銀行などのサービス業が業務縮小を余儀なくされる。電車やトラムなど電力に依存する交通機関は限られた範囲でしか運行できなくなる」と説明した。
パルムラン氏はまた、今回のパンデミックで危機への備えを可能な限り行うことの重要性が浮き彫りになったと強調。電力不足が起こった場合には、スイスでは全ての消費者、特に企業などの大口消費者がその役割を果たす必要があると述べた。
複数の専門家によると、EUとの協定交渉に進展がなければ、スイスは短~中期的、特に冬場の電力確保に大きな問題が生じる恐れがある。
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
おすすめの記事
スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
おすすめの記事
新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州の約2億4200万年前の地層から新種のイカの化石が見つかり、「Chuchichäschtli(クッヒカーシュトリ、スイスドイツ語で『食器棚』)」と名付けられた。
もっと読む 新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
おすすめの記事
スイスのサマータイム廃止はいつ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで夏時間(サマータイム)が始まった。3月31日午前2時にすべての時計の針が1時間ジャンプし、午前3時を指した。だが夏時間制はとうの昔に廃止されるはずではなかったのか?
もっと読む スイスのサマータイム廃止はいつ?
続きを読む
おすすめの記事
IEA、スイスにEU電力市場への参入を推奨
このコンテンツが公開されたのは、
国際エネルギー機関(IEA)は8日発表したスイスのエネルギー政策報告書で、スイスは脱原発計画により低炭素社会を維持しにくくなると指摘した。欧州連合(EU)と交渉中の枠組み条約において、EU電力市場に加わる方向で交渉を進めるべきだと推奨した。
もっと読む IEA、スイスにEU電力市場への参入を推奨
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。