スイスの湖で津波の危険度の調査が始まった。ルツェルンやジュネーブでは過去に津波の被害が起きた歴史がある。
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1601年9月16日、マグニチュード5.9の地震でスイス中央部のルツェルン湖で津波が発生。湖畔やルツェルンの市街地が浸水した。湖底では地滑りがおき、ビュルゲンシュトック山でも岩盤が崩落した。津波は高さ8メートルに達したと推計され、少なくとも8人が死亡した。
チューリヒ連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)とベルン大学などの研究チームは現在、湖で起きる津波の危険性や発生頻度、津波の原因や影響を研究外部リンクしている。
ETHZスイス地震サービスで地震ハザード・リスク査定部長を務めるドナート・フェー教授は外部リンク、「湖の津波はめったに起きないかもしれないが、その可能性はゼロではなく、大きな被害を引き起こしうる」とコメント外部リンクした。同氏は津波検証の共同リーダーだ。
「スイスで起きた湖の津波の歴史がそれを証明している。他の自然災害と同様に被害の予防策を講じるため、津波の危険性を研究・定量化する必要がある」(フェー教授)
研究プロジェクトでは、ルツェルン湖の様々な場所に特別な水中地震計を設置。湖底の地震や地質工学的な計測を行う。
研究チームは河口の三角州で起きる地滑りも調査している。湖岸や湖底の地殻を掘削して津波による堆積物を探したり、コンピュータモデルを使い津波の動きをシミュレートしたりしている。
海洋への応用
ベルン大学のフラヴィオ・アンゼルメッティ教授外部リンクは記者発表で「このプロジェクトはスイスの自然災害を知るための古典的な調査だ」と述べた。湖は海洋での現象を知るための完璧なモデルとなり、研究成果は海洋にも応用できる可能性が高いと言う。
スイス国立科学財団、ETHZ、連邦環境省が津波の研究費用として2千万フランを拠出。他の三つのプロジェクトも計画されている。スイスで津波が起きたのはルツェルン湖だけではない。
ジュネーブ大学は2012年、科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に、563年にヴァレー州で起きたがけ崩れが原因となり、レマン湖で大津波が起きたとする調査結果を発表した。
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