世界的に昆虫が激減していることを受け、スイスの環境保護団体プロ・ナチュラは3日、グローワームをアニマル・オブ・ザ・イヤーに選出した。虫に対する人々の意識を高めることを狙う。
このコンテンツが公開されたのは、
ホタルの名で親しまれているグローワームは、安定した輝きを放つ甲虫。このグローワームはスイスで見られるホタル4種類のうち最も一般的なものだ。
同団体によると、ホタルはまだスイスに広く生息しているという。しかし、他の昆虫と同じように、生息地が破壊され、農薬や光害によって脅かされている。
スイスで知られる3万6千種類の動物のうち、3万種が昆虫だ。虫たちの「奇跡の世界」は恐るべき速さで崩壊しているとプロ・ナチュラは警鐘を鳴らす。この変化は自然と人間に深刻な影響を及ぼす。
暑い夏の夜を魅了する生物発光性のグローワームは、その生涯の終盤にだけ光を放つ。幼虫として約2年間過ごし、その間、主にカタツムリを捕食する。
こげ茶色の姿をした幼虫の狩猟方法は非常に残忍で、まるで小さなワニのようだ。自分よりも大きい獲物に忍び寄り、噛み付いて毒死させる。そして1日かけて獲物を捕食する。
オスを引き寄せる光
幼虫が蛹になり、成虫になる3年目の夏、いよいよクライマックスを迎える。メスは成虫になるとすぐに光り始め、自分の交配場所にオスを引き寄せる。
メスの発光器が化学反応によって光を放つ一方で、オスは光らない。オスは愛の閃光を求め、生息地を飛び回る。
パートナー探しは時間との戦いだ。グローワームは成虫になってからは何も捕食しなくなるため、時間内につがいを見つけられなかった虫は子孫を残すことなく2週間で息絶える。
グローワームは、プロ・ナチュラが管理する700以上の自然保護区に生息する。これらの安全な避難所には、グローワームが必要とするすべてのものが揃っている。それは多様な生息地、おいしいカタツムリが育つ環境と暗い夜の闇だ。
1998年以来、プロ・ナチュラは毎年アニマル・オブ・ザ・イヤーを選出している。
おすすめの記事
スイス北東部でオーロラ観測
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北東部のゼンティス山頂で6日未明、オーロラが観測された。
もっと読む スイス北東部でオーロラ観測
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
続きを読む
おすすめの記事
刻々と進む生物の変化 スイスの湖の底では何が起こっているのか?
このコンテンツが公開されたのは、
最近、「生物多様性」という言葉をあちこちで耳にするようになった。また同時に、その重要性もさかんに訴えられているが、種の多様性が失われるのは本当に問題なのだろうか?
もっと読む 刻々と進む生物の変化 スイスの湖の底では何が起こっているのか?
おすすめの記事
自然保護か河川の利用か スイスが抱えるジレンマ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は過去、洪水防止策強化に多額の投資をし、また河川をより自然な状態に復元するため、26州全てに地表水の復元を義務付ける法律を発効した。しかし、河川の自然保護と、水力発電を進めたい考えの間で板挟みの状態となっているのが現状だ。
砂岩の上に幽霊のように伸びる城壁。廃墟となったグラスブルグ城のすぐ先で、森の小道はセンゼ川の岸辺に下りていく。スイスの緻密に管理された自然風景の中にあって、この辺りは珍しく野生が残っている。
「ここには非常に多くの種が生息している。植物も昆虫も魚も。本当に驚くべき場所だ。スイスの熱帯雨林と言ってもいい」と話すのは、世界自然保護基金(WWF)スイス支部で、「持続可能な水力発電プロジェクト」のリーダーを務めるジュリア・ブランドルさんだ。
もっと読む 自然保護か河川の利用か スイスが抱えるジレンマ
おすすめの記事
アルプス山脈に生息する両生類
このコンテンツが公開されたのは、
擬態の天才・アルプスサラマンドラは、他の両生類とは異なる珍しい方法で子孫を残す。また、寒さとも上手く付き合うサバイバル能力を持っている。
もっと読む アルプス山脈に生息する両生類
おすすめの記事
濡れ衣を着せられた空の王者
このコンテンツが公開されたのは、
これを受け、1953年にスイス政府はイヌワシの保護に乗り出した。この複雑な過去を背負った珍しい鳥に人々が注目するよう、スイスの自然保護団体プロ・ナチュラ外部リンクは2001年、イヌワシをアニマル・オブ・ザ・イヤーに選ん…
もっと読む 濡れ衣を着せられた空の王者
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。