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バーゼルワールド2017開幕直前 スイスの時計産業について知っておくべき六つのこと

機械式時計はいったん人気が落ちたが、2000年代に再びブームを巻き起こした。写真は1956年モデル

機械式時計はいったん人気が落ちたが、2000年代に再びブームを巻き起こした。写真は1956年モデル

(Keystone)

世界最大の時計宝石見本市「バーゼルワールド」が明日23日からバーゼルで開催される。今年は時計産業にとっていささか重苦しい状況での開幕となりそうだ。この機会に、スイスの持つノウハウと「スイス製の精密さ」を象徴するスイスの時計産業について、六つの項目にまとめてみた。

1.世界の高級腕時計の分野はスイスがほぼ独占

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 スイスの腕時計生産量は年間約3千万個。世界の生産量のわずか2.5%にしか満たないが、売上高では腕時計市場の5割以上をスイスが占めている。価格1千フラン(約11万円)以上の腕時計の約95%がスイス製だと推定されている。

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 「swiss made」と刻印の入ったスイス製の高級腕時計は人気が高く、同時に偽造者にとって魅力的でもある。スイス時計協会(FH)他のサイトへによれば、世界で毎年3500万個の偽造品が製造されており、本物のスイス製腕時計の生産数を超えている。偽造品の売上高は約10億フランに上り、時計産業の売上高の5%に相当する。

2.最も有名なメーカーの腕時計が最も売れている

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 フランスの有名な広告業者ジャック・セゲラはかつて、「50歳でロレックスを持っていなければ、人生に失敗したということだ」と言ったが、この言葉は、高級品の中でもロレックスの腕時計がいかに象徴的な存在であるかを良く表している。ロレックスは、テニス選手のロジャー・フェデラー、俳優のブラッド・ピット、フランスのニコラ・サルコジ前大統領などの有名人も愛用している。

 ロレックスはまた、世界で最も売れているスイス製腕時計でもある。2015年の売上高はほぼ50億フランに達し、2位のオメガとカルティエ(どちらも20億フラン)を大きく引き離した。だがこの数字は、フォントベル銀行のアナリスト、ルネ・ウェーバー氏の推算に過ぎない。世界に広く知られるメーカーではあるが、ロレックスの財務状況は非公開だからだ。ロレックスは、創業者の名を冠するハンス・ウィルスドルフ財団が経営母体となっており、株式も非上場のため財務状況を公開する義務はない。

 ロレックスと並んで、スイスには時計産業をリードする三つの巨大グループがある。

スウォッチ・グループ他のサイトへ:時計業界で世界トップ。スイスで株式上場されているが、株式の約4割を創業者のハイエック家と近親者が保有している

リシュモン他のサイトへ:創業者は南アメリカの実業家ヨハン・ルパート。スイスと南アフリカで株式上場

LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン他のサイトへ:高級品業界で世界トップ。創業者はフランス人のベルナール・アルノー。パリを本拠地としており、パリで株式上場


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3.スイス経済における時計産業のインパクトは控え目

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 スイスの時計産業が国内総生産(GDP)に占める比率はおよそ1.5%。製薬・化学産業、工作機械産業に続いて3番目に輸出高が多い。スイスの時計メーカーはヌーシャテル、ベルン、ジュネーブ、ソロトゥルン、ジュラ、ヴォーなどの州に集中しており、そこで時計産業の付加価値の9割以上が生み出されている。

 時計産業は、これらの地域で貴重な雇用機会を創出している。現在約500社で5万7千人が職を得ており、関連する雇用を合わせると、約10万人が時計業界に関わっていると推定される。

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 多くの人が夢見るスイス時計だが、時計産業の給料はスイス時計ほど魅力的ではないようだ。時計職人の2016年の給料の中央値は月額5千フラン弱で、国内全体の労働者の中央値と比べ1千フランほど低い。

4.輝かしい過去もあれば暗い過去も

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 スイスの時計産業は60年代後半に、企業1500社、9万人の雇用を抱えるピークを迎えた。だが70年代に入り日本製のクォーツ時計が出現したことで、大きな衝撃を受け(クォーツショック)、スイスの時計産業は危機を迎える。80年代半ばには、企業数は500~600社、雇用は3万人にまで減少した。

 スイスの時計産業はその後、スウォッチなどの量産型モデルで巻き返しを図った。さらに2000年以降は、特に新興国で高級モデルへの人気が高まったことも追い風になった。輸出高は15年間で約2倍に増え、14年に220億フラン超となり、雇用も6万人に回復した。だが、2年前からアジア市場での売上が伸び悩むなどして、スイスの時計産業は再び低迷期にある。


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5.外国人労働者に依存

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 60年代以降スイスの時計産業は、外国人労働者にその労働力を頼ってきた。当時、組立ての単純な流れ作業のためにイタリアの女性労働者が安く雇われることが多かった。

 ここ数年、時計産業の発展に貢献してきたのはフランスからの越境労働者で、ジュラ地方の時計メーカーで働く3人に1人は越境労働者となっている。ちなみに、スイスの時計産業は16世紀にフランスの宗教弾圧から逃れてきたフランスの時計職人によって始まった。

6.アジア、特に中国はスイスの時計産業の「黄金郷」

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 2000年以降のスイス製腕時計の対中国輸出高は100倍近くに増加。スイス製腕時計の輸入国・都市では、香港が1位、中国が3位となっている。海外の買い物ツアーなどでの購入も含めると、世界の腕時計の二つに一つが中国人に買われていると言われる。

 だが、時計産業にとって「黄金郷」と言われた中国もその輝きを失いつつある。

 2015~16年にかけて対中国・香港へ腕時計輸出高は大きく後退。中国の経済成長に陰りが見られたことや、習近平(シーチンピン)国家主席率いる中国政府が公務員の汚職取り締まりを強化していることが主な要因となっている。

富の象徴となったスイス製時計 スイスの時計産業 中国の汚職対策で躍進に陰り

スイス製時計は中国で人気が高く、近年はスイスから中国への時計輸出額はうなぎのぼりだった。ところが昨年、それが大きく減少。中国の経済成長が失速し、中国政府が公務員の汚職取り締まりを強化していることが理由だが、スイスの関係者や専門家らは悲観していない。 ...


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(仏語からの翻訳・由比かおり)

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