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もぐもぐスイス味 その7 — モモヨ隊員とチューリヒの「武器庫」 —

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金融機関が集中するチューリヒ市のパラーデ広場 ( Paradeplatz ) にほぼ隣接した場所に、大型レストラン「武器庫・ツォイクハウスケラー ( Zeughauskeller ) 」がある。

ガイドブックによく紹介される「観光客必須」のレストラン。今回試食したのは「チューリヒ風子牛のゲシュネツェルテス ( Kalbsgeschnetzeltes nach Zürcher Art ) 」。子牛の細切れ肉のクリームソース和えだ。

 夕食時間としては少々早めの夕方6時だが、レストランのテラスではすでに多くの客が食事を始めていた。多くの銀行が集中する近くのパラーデ広場からも、客人のざわめき声が聞こえてくる。予約した席はレストランの中。武器庫という和訳で紹介される通りレストラン内は、ヨーロッパの鎧や剣や大砲が飾られている。これらに囲まれて食事をするのが今回の目的だ。武器のみならず、壁に組み込まれた実物大の時計がインテリアになっているのも壮観。

 インテリアの目玉は「ウィリアムテルの」と表示がある石弓。そもそも、ウィリアムテル自体が実在の人物であったかさえ不明だ。経営者は記者の指摘に、誤解を招かぬよう「レプリカ」と明記すると答えた。さらに言えば、鎧 ( よろい ) や槍などのインテリアの間に、大型のフラットテレビ画面があるのもいささか興ざめだ。

 大きなワゴンに注文した品々が運ばれてくる。「チューリヒ風ゲシュネツェルテス」は子牛の細切れ肉のクリーム和えだが、スイスでは高級料理に数えられる。脂肪の少ない赤身の内モモ肉と、細切れにするのはもったいないようなフィレ肉が使われているからだ。注文してすぐに料理が運ばれてきた。スローライフのスイスでは非常に早いサービスだ。客を待たせないようにとロジスティックに工夫があるのだろうが、ウェーターは忙 ( せわ ) しない。わたしたちの席の近くにある配膳コーナーでは、たくさんのビールグラスがカチャカチャと音を立てていて、騒がしい。

 小さなふた付きの銀色の入れ物から、ウエーターが料理をよそってくれるのは、高級感を意識してのことだろうが、しかしそれにしては目の前に皿を「ドン」と置かれたような気がした。

 クリームソースにたっぷりと辛口の白ワインが使われているのが分かる。こってりとした味で、間もなく満腹に。銀の入れ物にはまだ半分料理が残ってしまった。これまたすぐに、デザートのメニューが配られては、早く退散した方がよいようだ。時間に追われる観光客にはお勧めのレストランである。

…でモモヨ隊員は

 本日のスイスご飯は、その別名ツルヒャーゲシュネツェルテス。チューリヒ風細切れ肉。激しくドイツ的な発音を十分に楽しみながら注文したい一品だ。

 ツォイクハウスケラーは巨大レストランなので、敷居も低い。でもゲシュネツェルテスはメニューの中でも結構なお値段の方。何せ子牛肉なのだ。このレストランでは貴族階級に属すると思われる。

 席について注文後、待つこと10分程。貴族なのにすばやーな登場。もうすこしご用意整える時間が必要かと思ってたけど。見ればゲシュネツェルテスさま、ミもフタもないお姿。相方はジャガイモのお好み焼き、レーシュティー。茶色同士の組み合わせでおめかし度0でないの。せめて、パセリか何か、緑の一枝でもあれば…。うう、おいたわしや。お供に野菜の付け合わせを頼んでおいてよかった。

 では、頂きます。
 クリームソースといえど、かなりのしっかり味。クリームチキングラタンなどを連想するとかなり趣きがちがう。

 がやがやとしたお店の雰囲気だから、ついついビールを注文してしまったけれど これだったら白ワインだったかしらんね。主観塩度4

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) & モモヨ

武器庫・ツォイクハウスケラー ( Restaurant Zeughauskeller )
住所 :  Bahnhofstrasse 28a, 8001 Zürich
電話 :  +41 44 211 26 90 ファクス : +41 44 211 26 70
予約 :  特に冬場は必要
時間 : 11時半〜23時 年中無休
メニュー :  チューリヒ風ゲシュネツェルテス 33.50フラン( 約3350円 ) 、市長の剣 78フラン ( 2人分で約7800円 ) 、武器庫記念ビール 3dl 4フラン ( 約400円 )
予算 : 2人で、チューリヒ風ゲシュネツェルテス 、アルプラーマグローネン 17.80フラン ( 1780円 ) 、蒸し野菜を一皿ずつ、ビール等で70フラン ( 約7000円 )
行き方 : チューリヒ市の駅前通り( Bahnhofstrasse )、パラーデ広場 ( Paradeplatz ) の横。

子牛の細切れ肉 ( 赤身の内モモ肉6、フィレ肉1の割合 ) をバターで炒め、塩、コショウで味付け。ソースはシャロットをバターで透き通るまで炒め、生クリーム、白ワイン、子牛のブイヨンでのばす。塩、コショウ、パセリで味付け。

1 普通
2 濃い味好み
3 血圧注意
4 チャレンジャー
5 死海風

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