スイスの視点を10言語で

アーミーナイフが新デザインで登場   クリスマス商戦狙う

握った感触を重視した新型アーミーナイフ。写真右下は既存モデル. wenger-knife.ch

握った感触を重視した新型スイスアーミーナイフが、製造会社ヴェンガー社(本社・ドゥレモン、スイス北部)から売り出された。

同社は新型ナイフ「エボリューション(進化)」を11月中旬から発売し、今冬のクリスマス商戦の目玉と位置づける。

2001年の米同時多発テロ事件を受け、機内へのナイフ持ち込みが禁止される中、スイスアーミーナイフは観光客にも敬遠されつつある。「新感触」を武器に品ぞろえを強化して、縮小する市場の歯止め役にしたい考えだ。

デザイン変更

 スイスアーミーナイフはスイス陸軍が採用したのが始まりで、ナイフだけでなく、ハサミや栓抜き、缶切りなど多様な機能が付いている携帯ナイフ。

 公認の製造会社はヴェンガー社とビクトリノックス社(本社・イバッハ、スイス中部)の2社のみ。1893年創業のヴェンガー社は日に22,000本以上のアーミーナイフを製造するが、ボディのデザインを変更したことは一度もない。 

 今回はデザインを握りやすい形に変えて、フィット感をアップさせた。ヴェンガー社のトマス・シュラップバッハ販売部長は「実際に触ると、違いがわかるはず」と話す。 

 デザイン変更の背景には、売り上げ減少という事情がある。「これまでは、様々な機能を既存モデルに搭載させて、サッカーやスノーボードをする人など少数のグループにターゲットを絞って売り出してきた。だが今回は、幅広くファン層広げることを心がけた」と同部長は説明する。

お客の反応

 だが、お客の反応はいまひとつのようだ。

 新型アーミーナイフの写真を見せられて、チューリヒのデザイン学校に勤めるノルベルト・ヴィルトさんは、「既存モデルで機能は十分。新型ナイフは外観を少し変えた化粧直しみたいなものだろ?」と懐疑的な様子。

 新型ナイフを試用してもらうため、ヴェンガー社は早速、見本の1本をヴィルトさんへ郵送。

 「使ってもらうと、なるほどと納得してもらえるはず」と同社は話している。


 スイス国際放送  ロバート・ブルックス   安達聡子(あだちさとこ)意訳 

スイスアーミーナイフ:


スイス陸軍が採用したのが始まりで、ナイフやハサミ、缶切りなど様々な機能が付いている。

公認の製造会社はヴェンガー社とビクトリノックス社の2社。

ビクトリノックスは今春からUSBフラッシュメモリを搭載したアーミーナイフを発売。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部