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グアンタナモ収容者 受け入れ決定

2 人のガードマンに付き添われた、本を手にした収容者。2008年11月18日に撮影された Keystone

スイス政府は12月16日、グアンタナモ収容所の収容者の1人をスイスに受け入れると発表した。

受け入れが決まった収容者はウズベキスタン人で、アメリカ政府によるとまったく危険性のない人物だという。スイス政府は「人道主義の立場から受け入れることにした」と説明している。

問題解決の一端を担う

 「スイスの人道主義の伝統に基づき、 ( グアンタナモ収容所閉鎖 ) 問題の解決に貢献したいという意図から決定が行われた。グアンタナモでの収容は国際法に違反しているとして、スイスはアメリカを繰り返し批判てきた。しかし、批判するだけではなく、問題解決の一端を担いたいと考える」
 と、エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ司法警察相は述べた。

 スイスは今年8月にグアンタナモに代表団を送り、このウズベキスタン人と面談を重ね調査を続けてきた。その結果
「テロリストグループとこの人物との関係を記述したアメリカ側の文書内容は結局、その裏付けが取れなかった。また、諸外国の安全対策課もこの人物はたとえ受け入れても危険性がほとんどないと保証してきた。スイスへの融合能力や健康状態においても問題はない」
 と発表した。さまざまな条件を規定するアメリカとの合意書はすでに整っており、もし調印されれば、受け入れ後はジュネーブ州に住むことになるという。

 この発表を受け、NGOのアムネスティー・インターナショナルや多くの政党が受け入れを歓迎したが、右派の国民党 ( SVP/UDC )は反対を表明し
「アメリカは自分が引き起こした問題は自分で解決すべきだ。またもしグアンタナモ収容者を受け入れたら、アメリカからのスイスに対する代償があるのか、明らかにすべきだ」
 と述べた。
 
 バラク・オバマ米大統領はグアンタナモ収容所閉鎖を2010年1月末にするよう指示していたが、先月この期限は延期された。現在収容者は215人を数える。収容者受け入れをここ数カ月間で決定したヨーロッパの国々に、スイス以外でフランス、イタリア、ハンガリー、アイルランド、ポルトガルなどが挙げられる。

外電、swissinfo.ch

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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