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運用開始から2カ月の世界最長鉄道トンネル、定時性確保などの課題も

定時性確保や乗換えの利便性が課題となるゴッタルドベーストンネル。 Keystone

世界最長の鉄道トンネル、ゴッタルドベーストンネルの本格的な運用が始まってから約2カ月。これまですでに数千本の列車がトンネルを通過し、多くの乗客に利用されている。だが、まだ定時運行などの面で課題が残っているようだ。

 この世界最長の鉄道トンネルにより、アルプスの南北を結ぶゴッタルドルートの旅は、所要時間が約30分短縮されることになった。だが列車の遅延などで、その短縮が実現されない場合もある。スイス連邦鉄道(スイス国鉄)による8日の報告外部リンクによると、ゴッタルド線の定時運行率は昨年12月の79.6%から86.8%に改善し、乗換駅であるアルト・ゴルダウ駅の定時性は94.4%から97.1%に上がった。

 スイス連邦鉄道は、「イタリアから到着する列車の運行状況に、まだ改善の余地がある」とし、「ミラノ発のユーロシティ(国際特急列車)の遅延が多く、キアッソからの発車が平均8分遅れている。だが、その遅れはキアッソ‐アルト・ゴルダウ間の回復運転によりほぼ取り戻される」という。ちなみに昨年12月11日のダイヤ改正以降、車両故障などによる運休は43件発生した。

 公共交通機関に関するロビー団体「プロ・バーン(Pro Bahn)外部リンク」には、電車が遅れた、アルト・ゴルダウ‐ベリンツォーナ間の乗換えができなかった、車両内に十分なスペースがないなどの、多くの苦情が寄せられているという。また、同団体は、中央スイスから南部へ向かう路線は以前よりも不便になったと指摘してる。

 スイス連邦鉄道によると、昨年はインターシティ(特急列車)とユーロシティの需要が約30%高まった。新トンネルの運用開始から57日間で、1日平均8800人の利用者があり、合計で旅客列車2816台、貨物列車3980台がトンネルを通過した。

 現在スイス連邦鉄道は、需要の急増から来る問題の解決に努めているといい、特にイースター(復活祭)休暇前後はチューリヒ‐ミラノ間の混雑が予想されることから、この時期にスイス南部ティチーノ州へ行く利用客は早めに座席の予約を入れるように勧めている。

(英語からの翻訳・由比かおり)

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