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スイスでみる石油採掘の夢

スイスで石油採掘:凶と出るか吉と出るか?

(Keystone)

スイスでも石油が掘れるのをご存知だろうか。英国とスイスの合弁企業が、スイス西部の3カ所で、石油と天然ガスの採掘権を獲得した。

しかし、この動きを見る国内の石油・ガス協会の目は冷ややかだ。コストに見合うほど利益がでるかどうか疑わしいという。

 スイスに石油なんて、と思う人もいるだろうが、実は昔からスイスでも石油採掘の試みはされていた。今回の採掘も、以前掘られた油井に新技術を使って再度挑戦することになったのだ。敗者復活、叶うか。

英国主導

 本社をロンドンに置くアセント天然資源(以下、アセント社)と、スイス石油が狙いを定めたのは、モラス(Molasse)盆地だ。ここで両社の合併企業は、二つの採掘権を手にした。一つはトゥーン州の近くで、もう一つはフリーニスベルクの近くだ。この地域は天然ガスの埋蔵で知られている。そもそも20年以上も前、フランスのエルフ(Elf Aquitaine)社が石油採掘のために油井を掘った際に発見された。

 もう一つはイヴェルドンとローザンヌの間にある地域で、1962年にBEB(現在のエクソン・モービル・シェル)社が採掘した場所だ。

 アセント社は、同合弁企業の90%の株式を持っている。パートナーのスイス石油は、政府や地元との交渉が主な業務となるだろう。

 アセント社の広報、ユーゴ・ド・サリス氏がスイスインフォに語った。「最新の地殻変動データや地質調査の結果、思いがけないほど良い結果が出たのです。私たちは何がここに眠っているのか、さらなる調査が必要だと判断しました」

 石油がどれだけ出てくるか、実際はふたを開けてみないと分からない。「この調査の結果、本当に採掘に踏み切るかどうか、それぞれの油井の状況を見ながら最終的に決断します」

 「我が社は、石油と天然ガスが埋蔵されている可能性は非常に高いと見ています」

最新技術が採掘を可能にした

 さらにド・サリス氏は、スイスは欧州を横切る天然資源埋蔵ベルトの上に乗っており、石油や天然ガスがすぐに噴き出すとは限らないとしても、ある程度の量の天然資源が期待できると見ている。アセント社はすでにイタリア、オランダ、ハンガリー、スペインなど多くの国で石油採掘を手がけている。

 「スイスは山が多いので、石油なんて出るわけない、という偏見がありますね。だからといって可能性を絶つことはないでしょう」

 スイス石油の副社長、パトリック・ラユセン氏も自信を示す。ローザンヌの日刊紙、24Heures(ヴァント・キャトル・ウール)のインタビューで、「昔に比べて現在の石油採掘プロセスは、科学的にも技術的にも非常に進歩しました。このため昔は諦めざるをえなかったスイスの石油採掘も、現在は可能になったのです」と語っている。

 「最新技術のおかげで、今まで見ることのできなかったものが、私たちの目の前に広がったのです」

夢のまた夢

 しかし、「もしこの英国とスイスの合弁企業が褐色の黄金を掘り当てたら驚きですね」と冷ややかに語るのはスイス石油協会のロルフ・ハルトゥル氏だ。国内のほとんどの企業は、外国企業も含めて、10年も前に匙を投げているという。

 「スイスで石油や天然ガスを掘るという夢は1995年に終わりました。今回どんな動きがあったとしても、誰も振り向きもしません」。どうやらかなり痛い思いをしたらしい。「たとえ石油や天然ガスを掘り当てたとしても、コストに見合わないという見方が一般的です」

 スイス天然ガス協会の広報、ダニエル・ベルヒトルト氏も同感だ。「確かにスイスに天然資源はあるかもしれませんが、それぞれの埋蔵量は非常に小さく、いちいち掘っていたら採算はとても合いません」

 一方、アセント社部長、ジェレミー・エンゲ氏はこのような冷ややかな見方をばっさり切り捨てた。「非常に古臭い考え方ですね。油井は小さくても今のように石油の国際価格が高い場合だったら採算は十分取れます」

 「スイスの石油・ガスは面白い可能性を秘めています。採掘はもちろん簡単なことではありませんが、もし本当に『そこに宝がある』と分かれば、半分勝ったようなものです。私たちは『ある』と確信していますが」

 「私たちは小さな会社です。採掘量が少なかった場合についても準備態勢は十分整っています」


swissinfo、アダム・ボーモント 遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

キーワード

英国のアセント社(Ascent)とスイス石油は、スイス西部3カ所で石油とガスを採掘する

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