シラク大統領、北朝鮮問題の多国間協議が必要と力説
エビアン・サミット二日目夕の記者会見で主要国首脳会議(G8)をホストするシラク仏大統領は北朝鮮の核問題に関するスイス国際放送の質問に答え「隣接国の日本、韓国、ロシアが協議に参加することが重要」と強調した。
同大統領は同じく、スイス国際放送からの日本経済の今後の見通しについて聞かれ、「私は心配していない。調整は必要だが回復するだろう」との楽観的な見方を示した。また、「小泉首相の環境と自然に対する考え方に感心し、日本は他の国と違って自然を大切にする文化が根付いている」と日本の伝統を称えた。
シラク仏大統領は2日夕方のサミット議長会見で、スイス国際放送の北朝鮮問題の可能な解決方はという質問に「北朝鮮問題は日本だけの懸念でなく、主要国として憂慮を共有している」との認識を示し、4月下旬に北京で行われた米朝中3者協議に触れ、「中国のイニシアチブを全面的に支持する」と評価したうえで「日本と韓国、ロシアといった直接の隣国を交えた多国間協議で北に、核開発放棄を追及していくことが大切」との見方を示した。そのうえ、多国間協議での解決を追求していくという方針は「中国の胡錦濤国家主席もブッシュ大統領も同じ考えだ」と述べ、「北朝鮮は国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れなければならない」と強い立場を確認した。
スイス、サミットで貧乏くじ ?
エビアン・サミットはフランス領で行われたものの、レマン湖畔のエビアンはスイスと隣接しているためスイス政府の多大な協力の上で行われた。反グローバリゼーションのデモはエビアンが原則的に立ち入り禁止となったため、隣町ジュネーブと首脳陣の多くが宿泊する対岸のローザンヌで行われた。これによる被害は圧倒的にスイス側の方が大きく、シラク大統領も閉幕の記者会見でスイス政府の協力に感謝するとともに「反グローバル団体ではなく、暴力グループの被害にあったジュネーブとローザンヌ市民に深く同情する」と再度感謝の意を表明。
ジュネーブでは2日の夜も、観光名所であるローヌ川にかかるモンブラン橋をデモ隊数千人が占拠し、3夜連続で警官隊と衝突となり、数十人が逮捕された。警官隊は放水車などを投入し、ゴム銃を発砲したりして排除に乗り出したが街中騒然とした騒ぎとなった。ジュネーブの商店街の多くは1日夜、窓ガラスが壊されており、地元の新聞には一面に「誰が払うのか ?」「警察の戦略は間違っていなかったか」といった様々な議論が展開されている。英国のガーディアン紙は「フランスは栄光をスイスはは貧乏くじをひかされる」といった論調だ。
スイス国際放送、A.Y.
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