人身取引の加害者が起訴されるケースが稀な一方、被害者は不法滞在で起訴され、国外追放されることさえある
Nicola Vigilanti/Interpol via AP
「人身取引と闘うプラットフォーム(Plateforme Traite)」は2023年、スイスで197件の人身取引(人身売買)事案を記録した。前年比で11%増加した。
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男性の被害件数が増加傾向にあるが、被害者は依然として女性が多い(75.5%)。Plateforme Traite が30日公表した報告書によると、男性の被害件数の増加は、人身取引に関連する意識の向上や実態把握の徹底が寄与した。Plateforme Traiteは、被害者のカウンセリングと支援を専門とする4つの専門団体が連携する。
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労働搾取を目的とする人身取引の事例数も増加し、2023年は47%が被害者として認定された(2021年は33%、2022年は44%)。これには窃盗や麻薬取引などの違法行為を強制された人々も含む。Plateforme Traiteは被害件数の増加について、警察や移民・暴力被害者の支援組織、病院での啓発活動の強化によるものだと説明した。
被害者の大半はアフリカ出身
Plateforme Traiteは、人身取引の被害者の権利がしばしば尊重されていないことに懸念を示している。人身取引の加害者が起訴されるケースが稀な一方、被害者は不法滞在で起訴され、国外追放されることさえあるという。
Plateforme Traiteの加盟団体が2023年に支援したのは合計488件で、この数字には新たに認定された被害者と、以前から認定を受けていた被害者の両方が含まれる。2023年に確認された被害者の出身国は55カ国で、ハンガリー、コンゴ、カメルーン、ソマリアが最も多かった。被害者の大半はアフリカ諸国出身(56%)で、次に欧州(17%)、ラテンアメリカ(14%)、アジア(12%)が続いた。
英語からの翻訳:大野瑠衣子
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