スイスとEU 2者間協定に行き詰まり?
欧州連合は、この先も2者間協定をベースにスイスとの関係を続けていくことに難色を示している。
そのため、ドリス・ロイタルト連邦大統領は7月19日、ブリュッセルにジョセ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長を訪問し、解決策の糸口を見つけるためのワークグループを設置することで同意した。
EU法の受け入れ
欧州委員会の姿勢は欧州評議会よりオープンだ。評議会のヘルマン・ヴァン・ロンプイ議長はロイタルト大統領との会談で、スイスが今後も欧州連合 ( EU ) 域内市場に参入したいのであれば、2者間協定の交渉の際には以後、EU法を基準とすると伝えた。
2008年12月の宣言で当時のEU加盟国は、スイスおよび欧州自由貿易連合 ( EFTA ) 加盟国に対する立場を明確にした。その中では、将来、協定を結ぶ場合の不可欠な条件として、EU法の統一的同時的適用と解釈が定義されている。
ロイタルト大統領は慎重な態度に徹し、ヴァン・ロンプイ議長との会談後
「2者間関係をどのように改善し単純化するかということについて熟考することは正しい。それをどのように実行に移すかはまだわからない」
と述べた。
また、バローゾ委員長との会談後には、ワークグループについて
「種々の可能性を検討し、それが有効であることを証明するために重要な手段となる。今年末までには何らかの結果が出るはず。その後、どの方向に進むかを定める。しかし、スイスの主権という観点から自動的な法の受け入れは考えられない」
これに関しバローゾ委員長は
「スイスとEUの関係のためにより広いレベルで新たに全般的な枠組について話し合い、同時に種々の案件に関して現在行われている交渉も続ける。これは矛盾することではない。すでに進捗 ( しんちょく ) していることにブレーキをかけるつもりはない」
と語った。
また、専門家からなるワークグループに対しては非常にオープンな議論を期待していると言う。
「双方の言い分によく耳を傾け、それを考慮する。欧州委員会は先入観を持ってこの話し合いに臨むわけではない」
ワークグループの設置には両者が同意したが、ロイタルト大統領はそのほか閣僚レベルの会談を1年に1度持つことを提案した。この会談には両サイドの議会も取り込まれる。しかし、これに関してはヴァン・ロンプイ議長からもバローゾ議長からも返答を得ていない。
swissinfo.ch、外電
2007年以降、スイスとEUの間では下記の領域で交渉が行われている。
企業に対する課税、電力、農業、消費者保護、食品の安全、セキュリティ製品、化学薬品の安全管理など。
さらに、衛星ナビゲーション、競争法実施に向けての協力、金融市場の監視、金融仲介機関の市場参入などについても交渉が予定されている。
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