スイスは婚姻状況に関係なく課税する税制改革に一歩近づいた
KEYSTONE/© KEYSTONE / GAETAN BALLY
スイス連邦内閣(政府)は21日、世帯ごとではなく個人への課税に移行する税制改正法案を議会に送付した。婚姻夫婦が事実婚世帯よりも税が重くなる「結婚罰」を解消すると同時に、女性の就労を促す狙いがある。
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改正案は「婚姻状態に関係ない個人課税を外部リンク」と称するイニシアチブ(国民発議)への間接的対案として作成された。政府外部リンクは対案の方が同じ目的を早く達成できるとして、連邦憲法の改正を要するイニシアチブに反対の立場を表明している。
改正案では、婚姻関係にある夫婦は事実婚カップルと同様に、夫・妻それぞれの収入と資産に課税する。現在は夫婦の収入・資産を合算して累進課税するため、同じ経済状況の未婚カップルよりも課税額が大きくなる不平等が発生している。
直接連邦税に対する児童扶養控除を現在の6700フラン(約115万円)から1万2000フランに引き上げ、夫婦間で均等に分配する。このほか▽低・中所得層の税率引き下げ▽基礎控除の引き上げ▽最大税率(11.5%)が適用される所得額の引き下げ、を講じる。
改正により、連邦税収は2024年ベースで10億フラン減少する見通し。計画では政府収入が8億フラン、各州への分配金が2億フラン減ることになる。
実現には最低10年
連邦政府の対案を受け、イニシアチブを提起した急進民主党(FDP/PLR)女性部は今後、イニシアチブを取り下げるかどうか決める。取り下げれば政府の対案が国民投票にかけられることになる。中央党(Die Mitte/Le Centre)も別のイニシアチブを提起し署名を集めている。
政府案が通った場合も実現への道のりは長い。所得税は州に徴収権があり、各州が税率や控除額を自由に決められるからだ。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)によると、州側は政府の対案が通った場合でも10年の移行期間を設けるよう求めており、改革の実現は2035~36年頃になる可能性がある。
英語からの翻訳・追記:ムートゥ朋子
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