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スイス乗り入れ禁止となった飛行機のリスト公表

発着陸が拒否されている機体は21機という。航空会社のプライバーシーと消費者保護の狭間で揺れた当局。公表が遅れた。 Keystone

連邦民間航空局(FOCA)は運行の際の安全基準を満たさない飛行機に対し、スイス国内における発着を禁止している。21機体あるという「発着禁止機体」のうち7機体が公表された。                                         

3日、エジプトのフラッシュエアがシャルマンシェイクを離陸した直後、紅海に墜落。スイス人の犠牲者は出なかったもののFOCAは、同機はスイス国内の発着陸を拒否された整備不十分な機体だったと明らかにした。
「発着禁止機体」の全リストの公表の要求が高まる中、公表は1週間以上引き伸ばされた。                                         

3日、欧州人に人気のエジプトのリゾート地、シャルマンシェイクを離陸したフラッシュエア(ボーイング737機)が離陸直後紅海に墜落し、乗客乗務員148名が犠牲となった。連邦民間航空局(FOCA)は事故後、同機はスイス国内の発着陸が拒否され上空を通過することさえできない危険な機体だったとコメントを出し、スイス国内外で大ニュースとして取り上げられた。
その後、イタリアの通信社が11機体がスイスが指定した危険機体だと報道したため、FOCAは7機について名前を挙げ、スイス国内での発着が拒否されていると公表した。
フラッシュエアのほか、該当する機体を所有する航空会社6社は以下の通り。スペインのGIR、アゼルバイジャンのシルクウェー、ブルガリアのエムスエア、リバノン/米国JRエクゼキュティブ、ナイジェリアのプレミアムエアーシャトル、ウクライナのドニプロアビア。 リストは一部だけの公開に留まった。FOCAは欧州紳士協定を理由にすべては公開できないとしている。

1度の検査でリストに載る

 FACOは発着拒否のリストにあるのは、1度の検査で引っかかった機体で、所有会社が「危ない航空会社」というわけではないと強調している。
 エジプトで墜落事故を起こし乗客乗務員148人全員が犠牲となったフラッシュエアーは、「危ない機体」としてリストにあったことが発覚して以来、消費者団体やパイロット協会はリストの公表を強く求めていた。FOCAは、個人データの保護法とリスト公表の合法性を検討していたため、1週間以上を要したという。

 公表に至ったのは、メディアによるリストが記事になるなど、憶測による「不必要な不安」をこれ以上高めないためで、公表されたのは欧州民間航空会議(ECAC)のメンバー以外で、紳士協定には触れないとの判断があった。

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

スイス乗り入れ禁止機体のうち7機
フラッシュエア(エジプト)
GIR(スペイン)
シルクウェー(アゼルバイジャン)
エムスエア(ブルガリア)
JRエクゼキュティブ(リバノン/米国)
プレミアムエアーシャトル(ナイジェリア)
ドニプロアビア(ウクライナ)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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