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スイス航空全機離陸不可能、「スイスの惨劇」と大統領

飛べなかったスイス航空、2日チューリッヒ・クローテン空港 Keystone

スイス航空が燃料費を払う現金も無いと自ら認めた2日、同社の全便が離陸不可能となった。世界中の空港でスイス航空機が立ち往生する姿にロイエンベルガー大統領は「スイスの惨劇」と表現し、UBSとクレディ・スイスを十分な救済措置をしていないと非難した。

運輸エネルギー環境相でもあるモーリッツ・ロイエンベルガー大統領は2日、ベルンで行われた記者会見で「スイスの評判が深く傷つけられた、我が人生最大の悲しみの日」といい、銀行の態度には深く絶望したと述べた。スイスエア・グループのマリオ・コルティ会長は、テレビで「銀行に一日十スイス航空機を飛ばすために必要な資金供給を嘆願した。銀行家の前に跪き、金をくれと乞わなければならないなんて、想像したこともなかった。」と述べた。UBS銀行とクレディ・スイスは2日夕方、スイスエアが両行に売却した系列の地域航空会社クロスエアの保有株70%分の2億6、000万スイスフランをスイスエアに振り込んだ。が、振り込まれたのが2日の夕刻と遅すぎたため、スイス航空機は3日も全便離陸不可能、4日の事はまだ決定されていない。

2日夜、チューリッヒ空港で、世界の空港で、スイス航空の旅客数千人が立ち往生した。チューリッヒ・クローテン空港では、欠航便の予約客らが賠償金は一切出ないと知らされ、他の交通手段を自分で見つけるよう告げられた。旅客の1人は「こんなふうに旅客を放り出すとは、信じられない。ここはバナナ共和国か?」とテレビの取材に対し憤慨しなから語った。

現在国外にいるスイス航空機は、大至急スイスに呼び戻される。スイス航空の主要欧州路線は3日朝からクロス航空が引き継ぐ。クロス航空によると、3日朝からスイスエアの18の欧州路線をクロス航空コードで運航し、4日からはさらに7路線を加える。1日に発表された救済プランによると、クロス航空は、スイス航空の路線の3分の2が移管される10月28日まで、スイスエアの系列会社として運営される。また、スイス航空は、10月末まで「スイス航空」の名称で運航を続ける。
が、スイス航空のフライトが欠航となるほどの状態に、クロスエアのスポークスマンは、救済プランはスムーズには運ばないと見る。スイスエア労組は、人員削減は当初の予想を上回り1万人が解雇されると予測、3日に抗議集会を計画している。

スイスエアが受け入れた銀行の救済プランには、スイスエアが株の49.5%を保有するベルギー・サベナ航空への支援打ち切りが含まれている。そのためスイスエアは1日にサベナに支払う予定だった2億スイスフランの支援ができなくなり、ベルギー政府は訴訟に持ち込む構えだ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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