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スイス政府、ワクチン接種証明書を発行へ

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スイス連邦政府は24日の会見で、新規感染者や入院患者数の最新データを公開した Keystone/Peter Schneider

スイス連邦保健庁は24日、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が済んだ人に証明書を発行する方針を発表した。今夏までに導入する予定。

保健庁のアン・レヴィ局長が同日の会見で述べた。証明書は標準化された、他国と互換性を持つ安全なものとする。紙・デジタルの両方で発行する。

同局長は、特に欧州連合(EU)が進めている同種の「デジタルグリーン証明書」に調和させるとしたが、不明な点は多い。

導入時期については「夏を目指す。試練ではあるが、現実的な目標だ」と語った。

同局長はまた、スイスに中央一元管理のデータベースを設けることは不可能だと述べた。また証明書が発行されるのはワクチン接種を受けた人のみで、EUのように感染から回復した人、検査で陰性が証明された人を含むことはしないと述べた。

欧州委員会は17日、EU域内の移動を円滑化するため、ワクチン接種を受けた人、感染症から回復した人、検査で陰性が証明された人を対象に「デジタルグリーン証明書」を導入する計画を発表。スイス連邦議会も今月、自国の証明書に関する規定案を可決した。スイスはEUに加盟していない。

ワクチン

一方、保健庁感染管理班の責任者ヴィルジニー・マセレ氏は、スイスはまだワクチン接種キャンペーンの途中だと述べた。

同氏は、夏までには希望する全国民にワクチンが行き渡るだろうと述べた。ただ、ワクチン供給や製造元との交渉については、詳細を語らなかった。

アラン・ベルセ内務相は25日、ワクチン製造元の米モデルナ、米ファイザー・独ビオンテックの担当者、州の担当者と会合する。

国内ではこの2種のワクチンが使われている。英アストラゼネカ製のワクチンは現在、医薬品承認機関スイスメディック(Swissmedic)が承認審査中。

マセレ氏はまた、スイスの感染状況は「不確定」だが「コントロール下にある」と強調した。国内の新規感染者は24日、2千人を超えたが、入院者数と死亡者数は増加していない。

マセレ氏は、80歳以上へのワクチン接種が進んでいることが理由の1つだと語った。

データ漏えい

また、国内のワクチン接種データを記録する民間財団運営のオンラインプラットフォーム「myvaccines.ch外部リンク」で情報漏えいが見つかった問題で、保健庁はこの問題について責任を負う立場にない、と述べた。同財団は保健庁から補助金を受けている団体の1つで、マセレ氏はこの財団の理事を務めていた(現在は辞任)。

レヴィ局長は、情報漏えいに「大変驚いた」とし、「対処するか否かは財団次第だ」と述べた。同ウェブサイトは、保存済みデータに誰でも容易にアクセスでき、改ざんなどに悪用されやすい状態だったことが判明。現在サイトは停止している。

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担当: Sara Ibrahim

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