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ソレイマニ司令官殺害 米イラン対立 イランの中東の影響力はどうなる

イラン

イランのソレイマニ司令官らの葬儀を待つ間、トランプ大統領の顔入り星条旗の上に立つ人。4日、バグダッドで

(Copyright 2019 The Associated Press. All Rights Reserved)

米国によるイランのソレイマニ司令官殺害は、イランの中東における影響力を低下させたわけではない。しかし、ジュネーブの専門家は、イラン政府は国内で行き詰まりに直面していると指摘する。

米国とイランは8日、中東におけるさらなる紛争ぼっ発の危険から一歩遠ざかったように見えた。3日、ソレイマニ司令官が米軍の無人偵察機に攻撃され、死亡した行為への報復として、イランはイラクの米軍基地をミサイル攻撃した。しかしトランプ大統領はこれに対する軍事的措置はとらないと発言した。

ジュネーブにある国際・開発研究大学院の名誉教授で、国際関係が専門のモハマド・レザ・ジャリリ他のサイトへ氏は、緊張の高まりの中で、イラン政権と中東地域が直面する現状を分析する。

モハマド・レザ・ジャリリ氏

(Graduate Institute)

swissinfo.ch:イランの最高指導者ハメネイ師は、イラクの米軍基地に対する十数発のミサイル攻撃を、米国への「平手打ち」と表現しました。しかし、彼はそれでは不十分で「この地域における腐敗した米国の存在」をなくすべきだと述べました。この発言をどう思いますか?

モハマド・レザ・ジャリリ:これは通常の政権の談話です。かといって明日、米国がこの地域を去るわけではありません。

swissinfo.ch:イランのザリフ外相は、ミサイル発射は相応の対応であり、イラン政府は米国との緊張を高めようとしているのでもなければ、戦争をするつもりもないと述べました。信頼できますか?

ジャリリ:彼の言葉を信じるなら、これは戦争の開始ではなく、今のところ物事はイラン側にとどまっているといえます。これは、イランの人々にとって朗報ですよ。米国と主要な紛争になったら、多くの犠牲者が出るのですから。

swissinfo.ch:ソレイマニ司令官の殺害は、イランの中東における影響力の戦略を損なうものではないようです。一方、米国側は氏の影響力が殺害の理由としています。あなたの意見は?

ジャリリ:ソレイマニ司令官の死は非常に象徴的なものでした。彼は多大な影響力を持っていたため、イランは長年、勝利に勝利を重ねる厳格な将軍という、彼のイメージに頼ったプロパガンダを流してきました。後任に選ばれたのは側近のエスマイル・ガーニ氏です。彼は革命防衛隊が活動する国々の事情に長けている。レバノン、シリア、イラクでもソレイマニ氏と同じネットワークを持つ。後進の体制は保証されているといえます。

ガーニ氏の力と影響力は、ソレイマニ氏と同等といえます。ソレイマニ氏はハメネイ師に直接発言できるほどでしたが、ガーニ氏は独自の財源を持っています。ソレイマニ氏は単なる将軍にとどまらず、政治的・軍事的権力を持つ、この地域におけるイランの総督でした。バグダッド、ダマスカス、ベイルートのイラン大使は全員、革命防衛隊出身です。したがって、ガーニ氏は、イラン外務省管轄外の重要な外交政策を担当するでしょう。

swissinfo.ch:ガーニ氏には、この政策を追求するための地位と評判を持ち合わせているのでしょうか?

ジャリリ:その印象は受けますね。彼はこの政策を熟知しているので。現場でも、彼は常にソレイマニ氏のそばにいて、イランのパートナーなどと連絡を取り合っていました。

swissinfo.ch:一部の専門家は、イランのパートナーの中には報復に満足せず、イスラエルやサウジアラビアに対して独自に攻撃したい意思を示す者もいるといいます。それは可能なのでしょうか?

ジャリリ:今まで、レバノン、シリア、イラクであろうと、彼らは概して革命防衛隊の命令に従ってきました。しかし、一部のグループが自律的に行​​動するリスクは確かにあります。しかし、そうなったとしても、規模は限られるでしょう。これらの「クライアント(取引先)」は、財政的・軍事的支援でイランに依存しているのです。

swissinfo.ch:一方、近隣のイラクでは、イランの影響力とソレイマニ氏の役割を非難する大規模な暴動がありました。米国とイランの緊張関係に何か影響を及ぼすでしょうか?

ジャリリ:イラクにおけるイランのプレゼンスに対する異論は、スンニ派だけでなくシーア派の間でも深く感じられます。おそらく、デモは一時的にやみ、また再開されるでしょう。デモ参加者は、イラクが真に独立し、外国の干渉なしに自身の問題を処理できるよう望んでいます。

ソレイマニ氏の殺害後、イラク議会で採択された文章の内容が、まさにそうなのです。また、米軍だけでなく外国の軍事力の撤退を求めています。これは、イランのプレゼンスに反対するイラク人と、イラン・イラク戦争中にあった民族主義的な感情を満足させるためでした。イラク政府の任命はイランの干渉が多く、こうした感情はくすぶり続けていたのです。

swissinfo.ch:その一方で、イラクは非常に脆弱なままです。

ジャリリ: 2003年のイラク戦争、2011年のオバマ米大統領の下での米軍撤退、および2014年のイスラム国(IS)との戦い以来、イラクは完全に不安定な状態です。イラク政府は力を誇示し続けることができませんでした。現在あるのは暫定政府のみで、その暫定政府の仕事は理論上、日々の業務をこなすことだけです。

swissinfo.ch:米国の厳しい制裁に直面するイラン政府は、経済の弱体化が深刻さを増し、国内で抗議が起こっています。今後これが変わる可能性は?

ジャリリ:国内で反対が続いており、それは政権にとって非常に憂慮すべき事態です。国内には主要な不満があります。経済情勢はコントロール不能になりつつあります。イランは銀行を皮切りに破産寸前です。

政権はそれ自体を改革することができません。 40年前と同じスローガンが出ていますが、国内、国際情勢は完全に変わりました。イランの人口も変わりました。彼らはもはや1979年の革命萌芽期と同じではありません。

政権は、政府を支援するデモを組織する余力がありますが、それはブロックされたまま。 2カ月前の抗議行動の時もそうですが、残忍な弾圧以外、市民へ対応する方法を知らないのです。これは強さを示すこととは、まったく逆です。


(英語からの翻訳・宇田薫)

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