都市ヒートアイランド現象、スイス各地の対策は?

夏の30度超えは恒例のチューリヒで涼を求める人 Keystone / Ennio Leanza

都市の暮らしが辛くなる盛夏。都市部はなぜ田舎より暑いのか。そして、スイスの都市は「ヒートアイランド現象」にどう取り組んでいるのか。

このコンテンツは 2020/08/27 08:30

世界では、人口の2人に1人が都市部に住んでいる。人口密度の高いスイスでは、その割合は73%にも上る。

都市中心部の夏の暑さはひとしおで、気温は周辺の農村部に比べ数度も高い。チューリヒ、ベルン、ジュネーブなどの都市圏では、夜になるとその差が7度に上ることもある。

この問題は「都市ヒートアイランド現象」と呼ばれ、気候の温暖化に伴い、特にスイス高原地域の人口密度の高い町や都市で増加している。

なぜ都市部で気温が高いのか

一つには、都市にはコンクリートやアスファルトの表面が多く、太陽の放射熱を吸収して周囲の空気を温めてしまうため。また、建築物の密集による空気循環の阻害や緑地不足、車や工場、冷暖房設備からの排熱も原因となっている。

これにより苦しむのは都市住民、特に高齢者だが、その影響は生物多様性や雨水の循環にも及ぶ。雨水が土壌に浸透できないからだ。

都市の気温を下げるには?

都市を「青や緑に塗る」のが良い、とローザンヌ大学地理・持続可能性研究所のジャン・ミッシェル・ファロー氏は言う。

同氏は24時間新聞とのインタビューで、都市の気温を下げるには「緑地や水面を増やすことが最も効果的だ」と語った。

樹木など緑のスペースは日陰を提供するだけでなく、蒸発散(陸地や海からの蒸発)を促進し、冷却に役立つ。ローザンヌ大学の気候研究者マルティーヌ・レベテズ氏によると、アスファルトで舗装された場所に植栽するだけで、5度も気温が下がるという。

チューリヒ芸術大学(ZHdK)屋上の植栽 © Keystone / Christian Beutler

また、特定の建築材も効果的だ。例えば、建物や路面に透明な素材や反射材を使うことで、太陽の放射熱は反射されて吸収されなくなる。

最後に、周囲の丘や森、田園地帯の爽やかな空気を都市まで届ける「通路」を確保する方法も考えられる。だが、都市部の密度が高まるばかりの今、実現性は低い。

スイス各都市の暑さ対策は?

スイスで最も温暖化の影響を受けているのは南部ヴァリス(ヴァレー)州の州都シオンだ。この20年間でシオンの平均気温は1度上昇し、年間に気温が25度を超える日は1960〜1980年の56日から現在76日まで増加した。

シオンはいち早くヒートアイランド問題に対応した自治体の一つ。多彩な緑のスペースを創出し、既存の駐車場に植樹を行った。

ルツェルンジュネーブでは、特に暑さや乾燥に強い木を増やそうとしている。ジュネーブでは2050年までに、植生域を現在の21%から30%に増やすことを目標にしている。

ジュネーブ市長のスポークスマン、フィリップ・デスピン氏がKeystone-SDA通信に語ったところでは、同市は、市内数十カ所でターマック舗装(骨材とタールによる舗装)約3千平方メートル分を除去し、地下水路を地上に戻す作業に取り組んでいる。

スイスの首都ベルンでは、夏の気温上昇が最も少ない路面を検証するプロジェクトが計画されている。こうした道路の建設や維持管理の方法、そしてその費用など、具体的側面を調べることもプロジェクトの一部だ。

スイスで最も人口の多い都市チューリヒは、今後の熱波に備え、高い気温の影響を最も受けやすい地域を詳細にマップ化した。

また、昨年5月には、気温上昇を抑えるための市の計画として、樹木や緑地、日陰を作るための巨大なキャンバスシート、噴水、緑化壁面を増やすといった措置を発表した。

チューリヒ市はさらに、新築物の向きや場所の選定に当たって、周囲の丘や森林からの気流を妨げるような構造は避けることとしている。

周辺丘陵からの冷気の市街地取り入れを目指すチューリヒ市 © Keystone / Gaetan Bally
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