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スイスの企業は「お堅い」

スイスの企業は賄賂を払わない。しかし輸出に付きまとう悪い慣習は引き続き存在する. RDB

トランスペアレンシー・インターナショナル ( TI ) が定期的に調査し発表する各国企業を対象とした「賄賂指標 ( BPI )」によると、スイスの企業は国外において賄賂を最も払わないと評価された。

同調査でスイスがその「お堅さで」1位になったものの「賄賂に関して非常に立派であるとはいえない」とTIのスイス担当者は語る。賄賂を支払って営業することは、国連の反賄賂条約を批准したスイスでは、一切認められないことなはずである。

 今回発表された2006年のTIの賄賂指標では、125カ国のおよそ1万1000人の経済界の代表者に外国企業が賄賂をどれだけ支払うかを聞いた。対象となったのは輸出志向の高い30カ国だった。

1位のスイスでも賄賂はある

 今年の結果は、10点満点でスイスが7.81点とトップ。次にスウェーデン、オーストラリアと続く。最下位の3国はロシア、中国、インドだった。なお、日本は9位に並んだベルギーとアメリカに次いで11位だった。

 スイスは最優等生と評価されたわけだが、TIスイスのアンネ・シュヴェーベル氏は「スイスが1位の栄光に輝いたことは嬉しいが、賄賂がまだあることは問題。改善されなければならない」と手厳しく指摘する。
 
 スイスは国連の反賄賂条約を2003年に批准している。一方、条約批准後、スイスの裁判所が賄賂事件で有罪判決を下したのは1件のみ。「石油・食料交換計画 ( Oil for Food Programme )」の不正疑惑に関連したもので、スイス人1人が有罪となった。石油・食料交換計画の疑惑とは、スイス企業や他国の企業などが、1999〜2003年にかけてフセイン政権に対して多額の賄賂を支払ったとされる事件である。「10点満点を取っていないスイスは、賄賂に対する当局の監視と企業における徹底した順法精神が必要」とシュヴェーベル氏は強調する。

上位はどんぐりの背比べ

 スイス当局は現在この事件を調査中。TIスイスはこうしたスイス政府の態度を評価しているが、公正な裁判が行われ国内外の企業に正当な判決が下されることを希望している。調査で10点満点を取ったわけではないことを認識し、企業は二重基準を適用せず、相手国を見極め、き然とした態度で接するようにと勧告する。

 調査を見ると、上位11カ国の指数には大差はない。スイスの場合、OECD諸国の関係者の評価は高いが、開発途上国による評価は低い。シュヴェーベル氏は「すべての国の企業は賄賂を払う用意がある」と言う。オーストリアは4位、輸出産業が大きいドイツは7位、アメリカは9位だ。一方、EU加盟を申請しているトルコが27位なのは問題であるとTIの調査は指摘する。

swissinfo、外電 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

<2006年TI賄賂指標による順位>
1. スイス ( 7.81 )
2. スウェーデン ( 7.62 )
3. オーストラリア ( 7.59 )
4. オーストリア ( 7.50 )
5. カナダ ( 7.46 )
6. イギリス ( 7.39 )
7. ドイツ ( 7.34 )
8. オランダ ( 7.28 )
9. ベルギー / アメリカ (7.22 )
11.日本 ( 7.10 )
28. ロシア ( 5.16 )
29. 中国 ( 4.94 )
30. インド ( 4.62 )

トランスパレンシー・インターナショナルの「賄賂指標 ( BPI )」は1999年に初めて発表された。2回目は2002年。今回の調査では輸出志向の高い30カ国が対象となり、調査は今年2月から5月まで行われた。

ベルリンに本拠地を持つNGO組織。賄賂の撲滅活動を行っている。
90カ国に支部があり、スイス支部は1995年に開設された。

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