スイス政府提案のイラク人道支援会議、米が欠席を表明

2月15、16日にジュネーブで予定されているスイス政府が主催する、対イラク攻撃を想定したイラク・人道援助を協議する国際会議に米国が出席しないことをスイス政府に伝えた。この会議は15の国際機関やイラク周辺国と主要資金拠出国など30カ国を招待している。
スイス紙ルタン(7日付)によると米国を始め、多くの国がイラクを会議に呼ぶのに反対したため、スイスもイラク招待を断念した。この会議を根回しなしに公表したカルミ=レイ外相の失敗だと批判している。
米国の対応
米国務省スポークスマンのフィンター氏は「国連の専門機関は緊急事態プランをすでに調整し、以前から発表しており、資金の拠出も求めている。国連の資金拠出アピールに答えた方がより効果的である」と語った。また、ジュネーブの国連代表部の広報官によると昨年末のイラク緊急事態アピールに答えて、米国は1500万�jの拠出を約束している。
イラクの反応
イラクのアルニマ国連大使は「どうして、イラクを招待しないという結論に達したのか。会議自体が、攻撃された結果を想定したイラクの人道問題なのに…」と憤っている。スイスの外相はこの決断を「会議が政治的な道具とされないよう配慮してイラクを呼ばないことにした」と説明した。「人道問題は政治問題と離して考えなければならないから」とも語った。
他の国の出席は?
赤十字国際委員会(ICRC)や国連難民高等弁務官(UNHCR)などの人道支援機関はすでに出席を表明したが、多くの国はこの会議への対応に戸惑っている。日本も未だに“検討中”であり本省からの指示を待っている状態で、欧州委員会の人道援助局責任者、ニールソン氏も「ジュネーブには行かない」とスイス紙トリビューン・ド・ジュネーブ(11日付)に答えた。「政治的にこの問題が利用されるのを避けるべきであり、“戦争が起こる”というようなサインを送ってはならない」と説明する。同紙はどのレベルの出席かは分からないが欧州委員会からの代表は出席する予定だと伝えている。この会議の前日、14日には安保理で国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長らによる査察追加報告が予定されている。

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