仏・台湾フリゲート艦取引贈収賄疑惑に新たな口座
仏軍需産業トムソン-CSFと台湾のフリゲート艦売買に絡む贈収賄疑惑に関連すると思われる新たな口座がスイス国内の3つの銀行で見つかった。先月チューリッヒ検察当局は、フリゲート艦売却契約のキックバックとして仏石油企業エルフ=アンキテーヌから受け取ったと見られる台湾人実業家名義のクレディ・スイスとロイ銀行の口座の総額2億5、000万スイスフランを凍結したばかりだ。
仏語紙「Le Temps」の報道によると、発覚した口座はJulius Baer、Banca della Svizzera、Banque Sarasinの3行の台湾人武器商アンドリュー・ウォン氏の妻と息子ブルーノ名義の口座で、総額4億スイスフランにのぼると見られる。伝えられるところによるとアンドリュー・ウォン氏は91年、トムソン-CSF製造のフリゲート艦6隻を台湾が購入した際の仲介者で、今回発覚した口座の資金は仏側から受け取ったキックバックの疑いがある。「Le Temps」紙によると、アンドリュー・ウォンの妻と息子ブルーノの上記3行の口座の預金4億スイスフランはスイス当局が差し押さえ、またリヒテンシュタインとルクセンブルクにある口座の総額1億2、000万スイスフランも凍結された。これらの金は、フリゲート艦取引が完了した際に秘密裏に入金された10億スイスフランの一部と当局は見ている。また、スイス警察はブルーノ・ウォンと母親がロイ銀行の貸し金庫に保管していた書類も押収した。「Le Temps」によると、97年ウォン一家は最初スイスの最大手銀行であるUBS銀行に全額を入金し、それから他のスイス国内の銀行に分散したという。97年といえば、フリゲート艦取引をめぐる汚職疑惑が明るみに出た年だ。
報道に対しJulius Baer銀行のジャン・ビーリンスキー・スポークスマンは、資金洗浄の疑いがある口座を発見したとマネー・ロンダリング当局にすでに報告したことを強調、預金額などは明らかにしなかったが、犯罪に利用されていたとしたら不愉快だと語った。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。