大反対、家庭の銃器
先月、26歳の男性が家庭の銃を持ち出し、ホテルのレストランに向けて発砲。71歳の男性が死亡、4人が負傷するという事件が起こっている。
スイスでは、民間兵が銃器を家庭に保管しているが、そのわりには事故が少ないといわれていた。ところがここ数年、この銃器による事件が急増。スイス人の多くが家庭保管に反対。ミシュリン・カルミ・レ大統領も反対の意を表明した。
およそ160〜200万の銃器がスイスの家庭に保管され、年間約300件の事故が起こっているという。スイスの調査機関「イソパブリック ( Isopublic ) 」が1203人のスイス人を対象に行った調査によると、スイス人の3分の2が、「家庭での銃器保管」に反対している。また、いくつかの政党などが一緒になって5月25日に、保管反対のイニシアチブを発議するという。
76%のスイス人女性、銃器の家庭保管に反対
66%のスイス人が「家庭での銃器保管」に反対、これを女性に限ると反対数は76%になる。また77%の人が「例え銃器が軍の武器庫に保管されても、任務はきちんと遂行できる」と答えた。
さらに、31.7%の人が「もし、銃器が家庭に保管されていなければ、惨事は避けられたであろう」と答えている。
全州議会 ( 上院 ) の安全政策委員会が提案した「弾薬は軍の武器庫に保管し、銃器は家庭に保管する」という妥協策に関しては、55%の人が反対、42%の人が賛成した。
銃器の家庭保管反対イニシアチブ
「かつて、国民の安全対策として行われていたことが、国民を脅かすことになっている」とカルミ・レ大統領は家庭での銃器保管に反対し、「家庭に銃器を保管すべきだという法的根拠はない」と語った。
一方、スイス射撃連盟会長、リタ・フーラー氏は「スイス民間兵が、家庭に銃器と弾薬を保管するのは、スイスの伝統であり、文化であり、アイデンティティーの問題」と言う。
いずれにせよ、5月25日には、社会民主党 ( SP/PS ) と他のいくつかの政党、及びいくつかの機関が一緒になって「銃器の家庭保管反対」のイニシアチブを発議する予定である。
swissinfo、外電 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )
スイスでは、およそ160〜200万の銃器が民間の家庭に保管されている。
最近の調査によると、殺人事件のうち、3分の1が兵役中の保管銃器によるもので、自殺の68%も同じく、こうした銃器によってなされている。
このような惨事の中で、最も注目を集めたのが、コリンヌ・レイ・べレ家の事件。かつてのスイスのスキーチャンピオンであったコリンヌ・レイ・べレ氏と弟が、夫によって殺害され、夫もその場で自殺した。
スイス国民は、18カ月以内に10万人の有権者の署名を集めることにより、国民投票として発議することができる。
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