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体外受精で命を救う?

受精3日後の受精卵 Keystone

スイスでは昨年、「救いの赤ちゃん」が大きな話題となった。ジュネーブに住む夫婦が遺伝子疾患を持つ息子ノアを救おうと、それに適した遺伝子を選別した女の子を体外受精したのだ。

人工授精はスイスで禁止されているため、「救いの赤ちゃん」のエロディはベルギーのブリュッセルで生まれ、1歳になったとき兄のノアに骨髄を提供した。

分かれる意見

 現在、連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) は体外受精に関する法案を作成中だ。この法律が成立すれば、遺伝子の特性を調べるために体外受精後の受精卵から細胞を取り出すことが可能になる。

 倫理委員会メンバーの大部分は、重い疾患や障害を回避する目的でのみ着床前診断を適用することに賛成している。

 一方、着床前診断を行って病気の家族に組織を提供できる子どもを作ることに関しては、委員会の中で意見が2分。1つの命を救うことは心理社会的なリスクを犯すことよりも大切だとする意見と、本来の目的から外れているという意見が対立している。

swissinfo、外電

体外受精の受精卵を子宮に戻して着床させる前に、細胞分裂した受精卵の一部を採取して染色体や遺伝子を調べ、遺伝子疾患について診断を下すこと。遺伝子の特性や性別の選別も可能。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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