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保護施設の犬と散歩して一石三鳥!~スイスの動物保護法(小動物編)~



初めて散歩した施設の犬、ジャッキー。この後新しい飼い主が見つかり、今は幸せに暮らしているそうだ。

初めて散歩した施設の犬、ジャッキー。この後新しい飼い主が見つかり、今は幸せに暮らしているそうだ。

(swissinfo.ch)

以前、動物保護法と絡めてスイスの畜産についてブログを書いたが、今回は犬猫といった身近な小動物についてご紹介しよう。スイスには各地にTierheim (動物保護施設)と呼ばれる民間施設がある。これらの施設には怪我をした野生動物や、迷子になったペット、虐待を受けていたペット、飼い主の様々な事情で飼えなくなくなったペット等が保護されている。保護動物は、犬猫をはじめ、鳥類、齧歯類、爬虫類、昆虫類に至るまで実に様々だ。国や市町村からの財政的援助はごくわずかなため、運営資金はほとんど寄付金で賄われており、働いている人もボランティアが中心である。

 私が動物保護施設に興味を持つようになったきっかけは、2008年のクリスマス前にふと目にした小さな新聞記事だった。それは「保護施設の犬と一緒に散歩に出掛けませんか。」というもので、幼い頃から大の動物好きだった私は、早速夫と最寄りの施設にでかけた。まず簡単な登録をすませてから、散歩の際の注意事項を聞き、施設の犬と1時間余りの散歩を楽しんだ。夫は運動不足でやや太り気味なのだが、犬がいれば時間も忘れて喜んで歩くので、それ以降も暇な時間を見つけては散歩ボランティアを楽しんでいる。

(swissinfo.ch)

 おかげで色々な犬達と知り合うことができた。散歩する犬が毎回同じとは限らないので、初めての犬の場合は、散歩の前に施設の人がその犬の性格や注意事項を簡単に説明してくれる。中には虐待されて人間不信になり、扱いが難しくなってしまった犬もいて心が痛んだ。新しい飼い主が早く見つかるように、そういった犬のリハビリを積極的に行っている施設もある。

(swissinfo.ch)

 散歩ボランティアは、散歩をしたい人(要登録)が散歩したい日に(予約は特に不要)に最寄りの施設に行き、その時点で散歩が必要な犬がいれば1~2時間散歩ができるというものだ。予約制ではないので、特に週末や天気のいい日には、犬達がすべて出払ってしまっていて散歩ができず残念な時もあるが、むしろ思いついた時に気軽に行けるのが大きな利点だと思う。ただし犬の散歩は365日休むことなく必要なので、定期的に散歩ボランティアに来てくれる人や、平日や雨の日の散歩は大歓迎だそうだ。この散歩ボランティアはヨーロッパでもスイス独自のものだそうで、実によいアイディアだと思う。施設の人もハッピー、施設の犬もハッピー、散歩ボランティアもハッピーと、まさに一石三鳥である。

(swissinfo.ch)

 2008年9月には、ヨーロッパで最も厳しいといわれるスイスの動物保護法に新たな規則が加わり、犬の飼い主は「飼い主養成講座」を公認の施設で受講することが義務づけられた。この講座は、犬の特性や行動を理論的、実践的に学ぶことで、飼育に関する知識をつけ、責任を認識させるのが狙い。近年問題になった闘犬による子供の殺傷事件以降、闘犬の飼育を届け出制にしたり、禁止したりする州が増えているが、このような講座で飼い主が十分な知識を持って犬を正しく訓練することはびびまだたはなくの誤り》公共の安全の向上にも役立つはずだ。また、終日犬をつなぎっぱなしにしておくこと(最低でも1日5時間は自由に動き回れる時間をとる。)や、ペットショップでの展示販売もスイスでは法律で禁止されている。(子犬のストレスや衝動買いを防ぐため。)

(swissinfo.ch)

 加えて、群れで生活する習性のある小動物(セキセイインコ、カナリア、ハムスター等)についても新たな規則が定められ、単独飼いは精神障害や問題行動の原因となるので、最低でも2匹以上での飼育が義務づけられた。観賞魚に関しても、水質管理や魚の大きさに対する水槽の大きさまで細かい規定があり、生きたままトイレに流したり、凍結死させたりすることは違法である。

 日本では「釣り券」さえ購入すれば誰でも自由にできる釣りも、スイスでは、事前に魚や自然環境に関する専門知識を学んだり、州によっては試験に合格して許可証をとったりすることが必要だ。また、魚にダメージや恐怖を与える“返しのついた針”や生きた“おとりの魚”も使用禁止。食用にする釣りの場合は、魚に長引く死の苦しみ(酸欠死、熱死、出血死等)を与えないために、釣った直後に頭を一打して即殺することも保護法で推奨されている。

 実は私が日本にいた頃、ブラックバスのルアー釣りに一時期ハマっていたのだが、当時良かれと思ってしていたキャッチ&リリース(釣った魚を再びはなすこと)も、結局は魚を傷つけ大きな恐怖を与えるため、スイスではあまり好まれていない。食用のための釣りが多く、いわゆる“釣ることだけ”を楽しむスポーツフィッシングは日本ほど人気がないようだ。近所にあるライン川でも多くの在来種がすでに絶滅、あるいは絶滅の危機にあるため、魚は自然のままそっとしておくのが一番と考える人が多いようで、釣り人はあまり見かけない。

 正直スイスの動物保護法を知った当初は、ここまで法律で定める必要があるのかという気持ちが強かったが、現実問題として動物虐待が一向に減らない現状を考えると、道徳・倫理教育や各人の善悪の判断に頼るだけでは不十分である。法律化によって動物虐待は“犯罪”であるという認識と、違反者には社会的懲罰を科すという一歩進んだ公的措置がとれるのは、非常によい事だと思う。スイス人の「命」や「クオリティ・オブ・ライフ」を尊重する考え方は、身近な動物に対しても一貫しているようだ。

森竹コットナウ由佳

プロフィール:森竹コットナウ由佳

2004年9月よりチューリヒ州に在住。静岡市出身の元高校英語教師。スイス人の夫と黒猫と共にエグリザウで暮らしている。チューリッヒの言語学校で日本語教師として働くかたわら、自宅を本拠に日本語学校(JPU Zürich) を運営し個人指導にあたる。趣味は旅行、ガーデニング、温泉、フィットネス。好物は赤ワインと柿の種せんべいで、スイスに来てからは家庭菜園で野菜作りに精をだしている。長所は明朗快活で前向きな点。短所はうっかりものでミスが多いこと。現在の夢は北欧をキャンピングカーで周遊することである。

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