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南アのW杯も、FIFA 現会長ブラッター氏

FIFA第3期会長を務めることになるブラッター氏

国際サッカー連盟 ( FIFA ) の現会長セップ・ブラッター氏は、次期会長ポストの唯一人の立候補者。

ブラッター氏が再び当選すれば、2010年南アフリカでのW杯が大きな仕事になる。

 5月31日、チューリヒで開かれる「第57回FIFA会議」で次期会長が選出される。現在、立候補者は1998年からすでに2期会長を務めたブラッター氏のみ。このヴァレー州出身のスイス人がまた3期目を務めることは確実。FIFA会議を前にインタビューに応じてもらった。

swissinfo : FIFA会議を前に、特に会長として再選されることが確実な状況でどう感じておられますか。

ブラッター : 32年間FIFAに尽くしてきた結果として、自分に自信を持っています。自分の仕事の歴史に誇りを持っていいと感じています。

しかし、立候補者がわたしだけというのはちょっとびっくりしました。わたしは競争好きなので、競争相手がいたほうがいいのですが。でもまあ、不満ではありませんが。

swissinfo : 「FIFA会長を2期以上務めるべきではない」とのご自分の発言のせいで、3期目の立候補を弁明するのに、「平和に働かせてはもらえないだろう」とおっしゃいました。時に、会長はかなり厳しい批判の的になりますが、どうそれを乗り越えてこられましたか。

ブラッター : 確かに困難な時期がありました。しかし、背後で起こることを気にせず、前進するサッカー選手のように行動しました。

もちろん、私を傷つけようとか、前進を阻止しようとか色々ありました。しかし、FIFA とサッカー選手がいつも私の後ろに付いてくれているという確信がありました。前進するには、自分のやっていることは正しいと思うことです。

また、神のお陰で、サッカーとは「単にボールを蹴る以上のものだ」と信じることができました。「社会を明るい、前向きなものにすることができるものだ」と思います。地球上には、至る所に多くのサッカー選手が存在します。この選手たちがサッカーを通して社会に貢献できるのではと思っています。

swissinfo : つまり、「サッカーの社会的責任」が第3期の仕事の1つになるということですか?

ブラッター : その通りです。この「サッカーの社会的責任」とは世界で最も普及し人気があるスポーツの責任なのです。それは、学校でのサッカー大会、リーグの大会、サッカークラブなどあらゆる場でのサッカー選手の振る舞い方に関係してくるのです。

それはまた社会、文化、経済、メディア、政治の分野で努力してサッカーに投資しなくてはいけないことを意味します。サッカーの世界でのネガティブな要素、人種差別、ドーピング、賭けなどにもかかわらず、サッカーは情熱、感動、多様性、そして特に希望を伝えてくれるスポーツだからです。

swissinfo : 第3期の大きな任務の一つが南アでのW杯ですが、これは会長にとってどういった意味がありますか?

ブラッター : 何年間も、アフリカの選手がアフリカを去って他国のグループに入るのを見てきました。それに対し、アフリカに何のお返しもできませんでした。

1998年に会長に就任して以来、私のやりたいことの1つがW杯の開催国を6大陸間でローテーションするよう規則を変えることでした。規則を変えずに今日、アフリカにW杯をもっていくことは不可能でした。今アフリカ人は、「彼らのW杯」を組織することができるし、準備は整っています。

swissinfo : 欧州サッカー連盟 ( UEFA ) 会長ミシェル・プラティーニ氏とW杯に向けて改革案をねっておられるそうですが?

ブラッター :  プラティーニ氏は1998年にわたしのコンサルタントだった人。わたしと同じ方向性を持ち、サッカーはビジネスである前に1つのゲームであるという点で認識が一致しています。一緒に、サッカーの審判面を改革したい、競技をもっときちんとコントロールしたいと考えています。

例えば、現在の2人の副審を4人にしたい。主審の幾つかの判断を助けるためです。まず試してみて、うまくいくようであれば、早急に4人にしたいと考えています。

swissinfo : 来年スイスはオーストリアと共催でEURO2008を開催しますが、情熱が足りないと批判されています。その理由は何でしょう?

ブラッター : 情熱がとにかく足りないのです。連邦議会が「開催にユーロでいくらかかるか」と聞いたとか。「この大会がこの国に何をもたらしてくれるか」と聞く代わりにです。とても象徴的です。

もっと情熱をかたむけて開催準備をするべきです。スイス的な輝きが世界中に伝わる機会なのです。世界中が欧州大会を見たがっているのですから。

swissinfo : 会長ご自身もスタジアムにでかけられますか?

ブラッター : もちろんです。スイスとオーストリア両方のスタジアムにでかけます。

聞き手 swissinfo、マティアス・フロワドヴォー 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 意訳

1936年、ヴァレー州、ビエージュ ( Viège ) に生まれる。商業、政治学の学士号を持つ。

1975年、FIFAに入る。

1998年6月8日、第8代のFIFAの会長に就任する。

2002年5月29日、FIFA メンバー協会はソウルでブラッター氏が2期目の会長を務めることを承認。

2003年、ドーハでのFIFA会議で、最後の任期の年を2006年をとせず、1年延期して2007年にした。これは2006年のW杯の時期とうまくかみ合わなかったためである。

2007年5月31日、ブラッター氏は3期の2011年までの会長として就任する。

FIFAは、国際サッカー連盟であり、チューリヒに本部を置く。

1904年に、パリで創設された。世界6大陸のサッカー連盟を統合する。

FIFAはさまざまな大会を主催するが、そのなかには男性と女性による世界サッカー大会がある。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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