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反ダボス会議もニューヨークで

パブリックアイ・オン・ダボスの反WEFパンフレット Keystone

通称「ダボス会議」として知られる世界経済フォーラム年次総会は、今年はニューヨークで開催される。各国のNGOが主催する反ダボス会議「The Public Eye on Davos」もニューヨークで開催される。反ダボス会議のテーマは「No License to rule the world」で、多国籍企業の途上国での環境・社会規準遵守だ。

世界経済フォーラム(WEF)総会が開催される1月31日から2月5日まで、The Public Eye on Davosも同じニューヨーク・マンハッタンのWEF会場ウォルドルフ=アストリアホテルのすぐ近くで総会を開く。スイスからはBern DeclarationとPro Naturaが代表派遣を予定している。Bern Declarationのクリスティン・エベルラインさんは、今年の会議のテーマは多国籍企業だと次のように語った。「多国籍企業は、投資先の途上国でも本国と同様な環境規準や社会規準に従わなければならない。我々はPublic Eye会議を多国籍企業の政策改善のロビーの場としたいと考えている。」。また、Pro Naturaのミリアム・ベーレンスさんは、「多国籍企業を環境規準に従わせる国際規程が必要だ。また、不当に低い賃金しか支払わず途上国の労働者を搾取するような企業に社会規準を守らせることも不可欠だ。」と語った。

Pro Naturaは、環境・社会規準に関する国際規程を導入し施行する機関として国連が最も適切だとの考えを示しており、Public Eye会議で国連の介入を要請する活動を開始したいとしている。「国際規程には、規準に従わない企業に制裁を加える力を持たせたい。我々は国連主導でこの運動を進めていきたい。」とベーレンスさんはいう。このような規程を実現させるには、WEF側のメンバーの支援も必要だ。Pro Naturaの親グループ、フレンズ・オブ・アースは世界経済フォーラムにも代表2人を出席させるが、Bern DeclarationはWEFとの対話を当面はする意思が無いとしている。「WEFのクラウス・シュワブ総裁はPR好きだ。が、持ち出される数々の問題に本当に責任を取ったことは一度もない。我々はフォーラムのPRに利用されたくない。シュワブ氏がWEF以外の場で我々と共通のフォーラムに参加するのでなければ、彼との対話はしたくない。」とエベルラインさんは述べた。

開催地がスイスのリゾート地ダボスからニューヨークに変更になったことで、今年は反対会議や反対デモを実施しやすくなったと反ダボス会議主催者らはいう。ダボスでは、公式な反WEFデモが許可されたことなど一度もなかった。が、ニューヨーク当局は、2月2日に予定されているマンハッタンでの公式反WEFデモを許可している。

さて、最大の関心事、来年の世界経済フォーラム年次総会はどこで開かれるのかは、まだ決定されていない。シュワブ氏らWEF役員らはダボスに戻ることを望んでいるようだが、ダボスでもニューヨークでもない開催地が選ばれる可能性もある。が、反WEFのグループにとって、開催地がどこであろうと関係ない。WEFにもっと民主的で透明な公共会議となってほしいと熱望しているだけだという。「重大な議題を討議する世界経済フォーラムに、孤島の秘密結社のような存在になってほしくない。」とエベルラインさんは語った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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