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古代穀物 健康的と注目される

近年スペルト小麦の栽培が増えてきている。消費者の需要が支えになり、古来の小麦も「生き延びる」ことができた

昨今のパンの人気はたいしたものだ。お馴染みのパン小麦で焼いた白パンのほか、いろいろな穀物がパンに使われ、種類も目立って多くなった。

特に注目される穀物はエジプトの古来から伝わるというスペルト小麦(ラテン語:Triticum monococcum 独: Dinkel 仏:petite :épeautre)やペルシャ原産のエンマー小麦(ラテン語:Triticum dicoccum 独:Emmer 仏: épeautre)だ。

 これら古代穀物は健康にも良く、古代には薬としても使われていたほど。食べてもアレルギーが出にくいという利点もある。スイスの栄養学者たちも、古代の小麦ブームを歓迎している。

中世からのご挨拶

 「消費者は新しい物好き。黒パンは完全に製粉された白パンより人気がある」とスイス大手スーパーのミグロのハンス・ショーネンベルガー氏は語る。同じく大手スーパー、コープのペーター・ヴェスピ氏は、パン小麦にはないナッツのような味がするのが好まれる理由だという。パンの新しいレシピの考案にはいまや欠かせなくなった古代穀物。大手スーパーでも次々と新しい商品が開発されている。

 古代穀物は近年、急に人気が上がり、現在のところパン総生産量の5%を占める。人気なのは、消費者の健康志向によるところが大きい。
 
 修道女で科学者でもあり音楽家だったドイツのビンゲンの聖ヒルデガルト(Hirdegard von Bingen 1098〜1179年)は、スペルト小麦の効力の素晴らしさをうたい上げた詩まで残している。彼女の分析は正しく、スペルト小麦はたんぱく質を鶏卵より多く含む。脂肪、炭水化物、各種ビタミンやミネラルのほか、薬になる成分もある。特に注目したいのは珪土(シリカ)で、思考を助けたり集中力を増したり、肌や髪の毛の健康を保つという成分だ。エンマー小麦も豊かなミネラルや酵素を含むため、健康に良い食品なのだ。

 その上、パン小麦に対するアレルギーを持つ人には、スペルト小麦やエンマー小麦が代用食品として使われることがある。しかし、古代穀物もグルテンを含むので、アレルギーを持つ人すべてに良いというわけではないので、注意が必要だ。

40世紀もの歴史

 スペルト小麦の原産地はエジプトで、3000年ほど前にギリシャからローマを通って欧州に渡ってきた。ローマ時代には単に穀物と名づけられ、パンの材料だった。スイスでも1世紀前ころまでは、パンを焼くための一般的な小麦として使われていた。近代、農作物は肥料などで栽培量を増加させてきたが、スペルト小麦はマイペースにしか育たないため生産量は上がらず、パン小麦に押されてしまった。

 1995年になって、スペルト小麦の栽培を保護しようという有志により、スペルト小麦のラベルを発行する組織が作られた。このラベルを発行してもらえるスペルト小麦はパン小麦などと交配していない純種でドイツ語の品種名オーバークルマーやオストロといった種類だ。

 一方、エンマー小麦はおよそ紀元前4600年に西ペルシャから中央欧州に広まった。スペルト小麦と同種でもあるエンマー小麦は1万年も前からいまも引き続きイランで栽培されている。スイスでは食糧難となった第二次世界大戦中に、その生産性の低さからパン小麦に押されてしまった。が、やはり1995年に「再発見」され、珍しい農産物を保護する団体、プロ・スペシエ・ララによりよみがえった。

古代穀物を使った新商品

 絶滅の危機にあるような農産物の維持には大手スーパーの協力が欠かせない。プロ・スペシエ・ララのルーツ・ボッサルト氏によると「十分な需要があれば、農家も栽培面積を広げることができ、採算も合うようになる」

 古代穀物の需要は近年増加しており、スーパーにはパンのほか、コーンフレーク状にしたもの、スペルト小麦やエンマー小麦が入ったバーガーやスパゲティなども置かれるようになった。スペルト小麦で醸造したビールもも注目したい。


swissinfo、 エティエンヌ・シュトレーベル  佐藤夕美(さとうゆうみ)意訳

補足情報

<スペルト小麦>
- 3000年前から欧州でもパンに利用されてきた。
- 20世紀に入ると生産性が高く、加工がしやすいパン小麦が主流になる。
- 1992年にはスイスで1000�f栽培されていた。パン小麦との交配種が主流。
- 1995年には保護と拡大を目的としたIGスペルト小麦協会が創立する。
- 今年の栽培面積は全国で2500�fまで広がり、12州にわたる1100件の農家が栽培するまでになった。

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