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国連、スイスの大麻合法化政策を批判

スイス連邦全州議院(上院)は昨年12月、大麻、マリファナ、ハシシュのソフト・ドラッグ購入を合法化する連邦麻薬法の改正案を可決した。国際麻薬統制委員会(INCB)はこのほど刊行された年次報告書で、スイスの大麻合法化案を厳しく批判した。

国際麻薬統制委員会(INCB・ウィーン)は、大麻をアルコールやたばこと同じカテゴリーに含めることは「歴史的な過ち」だと決めつけた。が、連邦保健局のウエリ・ロッハー副局長は、「大麻を禁止薬物リストに加えるのは『歴史的な過ち』だという意見の方が多く聞こえてくる。大麻は我々の社会に受け入れられるべきだ。大麻の有害・無害についてはよく知っている。大麻をヘロインやコカインのように扱い続けることはできない。」とswissinfoに語った。

INCBは年次報告で、昨年12月スイス全州議院(上院)で承認された大麻消費合法化案が実現すれば、大麻消費を合法化するのみに留まらなくなり、「医薬目的以外の大麻の消費、栽培、加工、売買の合法化へと帰すだろう」と警鐘を鳴らした。「大麻合法化は飲酒や喫煙による健康障害に加え、新たな健康障害の要因を導入することになる。」とヘルベルト・シェーペINCB事務官はいう。

これに対し、スイス政府は、4つの独立司法アセスメントから大麻消費合法化案は薬物統制協定に一致したものだと判断したとする。ケシの栽培と大麻の製造・取引には規制を設け、18才以上のソフト・ドラッグ取引は許可するが覚醒剤などハード・ドラッグ取引は違法とする新法案は、医薬目的以外の大麻取引を誰にでも許可するものではなく、社会的な問題はないと反論している。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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