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土の香りを放て! スイスワイン

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熟したブドウが収穫を待つ9月中旬に、「自然に従い、子どもの潜在能力を引き出してやるように」ブドウを育てる、2人のワイン生産者を訪ねた。

このコンテンツは 2008/09/18 15:33

ジュラ紀の氷河が削った跡をでこぼこに残す斜面に、「スイスワインの名刺」といわれるシャスラやピノノワールなど多品種を育てている。この2人の共通点は、農薬などを一切使用しない上、月や星座の動きに従う「ビオディナミ」と呼ばれる農法でブドウを育てることだ。

荒削りの男の子に丸みを

「強い力を秘めている。荒削りの男の子のようだ。良い性格を崩さないようにして角を取り、持っている強さに丸みを付け加えるため、もう少し酸素を入れる必要がある」
と、樽から少量取り出した赤ワイン、ピノノワール ( Pinot Noir ) を口に含んでレイモン・パコさんは言った。パコさんの、ワインの秘めている力を伸ばしてやりたいという「愛情」が結局、「ビオディナミ( Bio Dynamie ) 」農法に向かわせた。

30年来、父親から受け継いだワイン製法で、結構良い味のワインを造っていた。
「ただワインの魂、味の複雑さが欠けていた」
という。どうすればよいか試行錯誤しているとき、ビオディナミ農法と出会った。

ビオディナミとは、農薬を一切使わず、バクテリアやミミズなどに土地の耕作をまかせ、土地の失われた力を回復させ、土地の性格を最大限に引き出す農法だ。普通の有機農法に加え、ウシの糞などで作った「ミラクル水」などを春、花が咲く頃にブドウの木にかけてやったり、月や星座の位置によって枝を剪定 ( せんてい ) し、いわばエネルギーを与え、成長力や免疫力を高めることが特徴だ。

ブドウは根を地中深く張り、土の養分で香りを作り出すもの。従って、ブドウ畑のミネラル分、粘土、石灰質の含有量や傾斜度などの違いによって、たとえ同じシャスラ種を植えても1メートル先の土地では、違う香りのシャスラになる。これを考慮するのがブドウ造りの醍醐味だ。
「だからこそ、それぞれの土地の性格、香りを最大限に引き出してやりたいし、それを引き出すのに適した品種選びも欠かせない」
とパコさんは言う。

保証のないアーティスト

「おいしいワインだったが、ミネラル性、口の中に長く残るような持続性が欠けていた」
と、エシシャン ( Echichens ) 村のワイン生産者ミッチェル・クルションさんもビオディナミに出会った当時を振り返る。パコさんを含む仲間10人で、フランス、ブルゴーニュ地方のビオディナミ生産者を訪ねたのは、こうした思いがつのっていた2000年8月だった。

誰よりも、耕作の直接の責任者たちに話を聞きたかった。彼らが
「耕作作業を行う者全員が反対したが、この農法を始めるや否や、誰もが後に戻ろうと言わなかった」
と言った言葉で決心したという。こうして翌年の2001年、スイス・フランス語圏のこのグループはビオ・ディナミ農法をスタートさせた。

8年目の今、これしかないと思っているそうだ。ただ、ビオディナミ農法は、例えば子供の病気を治すのに、抗生物質を与える代わりに煎じ薬で気長に治すように、いつも気を付けていなければならず、何といっても予防が一番大切だ。

先日の大雨で、煎じた薬草に銅と硫黄少量を混ぜた手製のカビ予防薬は、すっかり流されてしまった。一方、農薬は、ブドウの中に染み込むため、雨でも流れない。
「だから、隣畑のワイン生産者は天気がさほど気にならない。我々は保証のないアーティストと同じだ」
と言う。しかし、ビオディナミではブドウの実の付きかたが2割落ちるため、手入れや収穫時の労働力もかなり節約できる。その節約した労働力で、質のよい高級ワインを造る。

キラキラと黄金色に光る、透明で、花の香りのするフルーティーな味の自慢の白ワイン「ゲビュルツトラミナー ( Gewürztraminer ) 」を勧めながら「後悔は一切ない」とクルションさんは微笑んだ。

swissinfo、フィッシュ村、エシシャン村にて 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

レイモン・パコさん (写真上 ) とミッチェル・クルションさん ( 写真下 )

2人とも同じビオ・ディナミのグループに属し、同時にこの農法を始めた。

レイモン・パコさんはフェシ ( Féchy ) 村で15ヘクタールを耕す。ブドウ生産から瓶詰めまで、彼を含む4人で全作業をこなす。

100%ビオディナミでワイン生産を行う。主な白ワインのブドウ品種に、シャスラ( Casselas )、ピノグリ ( Pinot Gris )、シャルドネ ( Chardonay ) 、など、赤ワインのブドウ品種に、ピノノワール ( PinotNoir ) 、ガメ( Gamay ) 、 シラー ( Syrah ) などがある。同名のワインが売られているが、さらに出来上がった赤ワイン数種類を混ぜたコロンブ・ルージュ( Colombe Rouge ) というワインもある。

ミッチェル・クルションさんはエシシャン ( Echichens ) 村で36ヘクタールを耕す。父と兄とさらに3人の 従業員で、ブドウ生産から瓶詰めまで行う。主な白ワインのブドウ品種に、ゲビュルツトラミナー ( Gewürztraminer ) 、シャスラ( Casselas )、ピノブラン ( Pinot Blanc ) など、赤ワインのブドウ品種に、ピノノワール ( Pinot Noir ) 、シラー ( Syrah ) などがあり、同名のワインが売られている。

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