スイスなどの研究チームは、アルプスのユキウサギの生息地が2100年まで毎年3分の1ずつ減少すると警告する
Rolf Giger, WSL
地球温暖化はスイスアルプスに生息するユキウサギの生態を危機にさらしている。スイスの研究者らによる国際調査で、将来的に極めて希少な存在になるとの予測が示された。
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スイス連邦森林降雪国土研究所(WSL)とベルン大学の合同チームは13日、アルプスのユキウサギの生息地は2100年まで毎年3分の1ずつ縮小するとの予測を発表した外部リンク。調査結果は科学誌グローバル・チェンジ・バイオロジーに掲載外部リンクされた。
オーストリアのウイーン天然資源大学(BOKU)外部リンクと共同実施した調査では、1990~2013年の間に気候変動がスイスアルプスで生息するユキウサギの分布にどのような影響を与えたかを分析。約1千匹以上の個体の動向を調べた。
分析結果から、ユキウサギは生息地が狭まるだけでなく、分断することが分かった。その結果、相互の関係性が薄れ、遺伝的な多様性が失われる恐れがあるという。
調査を主導したマイク・レーヌス氏は「生息地が失われ、また分断が進むことは、種としてのユキウサギがますます絶滅の危機にさらされることを意味する」と強調した。
調査チームは、ユキウサギを守りスイスアルプスの環境を維持するため、国による監視システムの構築を提案した。
SDA-ATS/swissinfo.ch/ln
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