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女性性器切除の根絶を訴える戦い

女性性器切除反対宣言に賛同するセネガルの男性 Reuters

毎年15歳以下の女児約300万人が、10秒毎に性器切除という深い傷を残す慣習の犠牲になっている。

このコンテンツは 2008/02/18 15:26

このほどユニセフが「世界女性性器切除根絶の日 ( the International Day of Zero Tolerance to Female Genital Mutilation ( FGM /C ) ) 」にジュネーブで開催した会議に、この慣習の根絶をめざす150人余が出席した。

主にアフリカ、中近東、インドネシア、そしてスイスを含む世界中の移民社会に住む約1億3000万人の女性たちが、毎年性器切除の被害にあっている。状況改善がなかなか進まない一方、この慣習は従来考えられていたよりかなり大規模に行われており、無言で堪える女性たちの人権に対する最も悪質で執拗な侵害行為の1つだとキャンペーンは訴える。
「社会に認められ、深く根付いた社会規範であるこの問題を、話すことさえはばかられた1980年代から長い道のりを歩んできました。しかし伝統的、文化的な社会規範はずっと変化しないわけではありません」
とインター・アフリカン・コミッティー ( the Inter-African Commitee on Traditional Practices ) のベルハーン・ラス・ワーク氏は語る。

伝統的慣習と人権侵害

女性性器切除は女児と女性の人権に対する侵害であると大きく批判されてきたにもかかわらず、なぜいまだに行われているのだろうか。国連高等弁務官事務所(UNHCR) のマデリーン・レース氏によると、なぜ、そしてどのようにこの慣習が続けられるのかを調査する研究者は、自分たちの娘の心身を傷つけると分かっている伝統をなぜ、多くの場合両親やほかの家族が、永続させようとするのかという矛盾にぶつかる。その答えは地域社会の圧力にある。
「そのような慣習が行われている国では、伝統に従わない女性は社会から疎外され結婚できません。男性に依存しなければならない社会の女性が抵抗できるでしょうか?」
とレース氏は言う。

会議の出席者は、政府が女性と子どもを守る環境を作り、社会的、経済的な政策や適切な立法措置を講じて、そのような慣習をやめるよう促進しなければならないことを認識した。またメディアと市民社会を巻き込んでの提唱活動や意識向上活動も非常に重要である。レース氏は、
「人権擁護の責任は政府にあります。我々が判断し、基準を作り、この拷問を終わらせるためには、我々が女性の人権に対する意識を向上させている間、政府が確実にその戦いをサポートし、公表するようにさせなければなりません」
と語る。
「アフリカでは政治は難しい問題です。政治家はジュネーブで人権を論じますが、国へ帰ればそれは別の話です。むしろ可能性があるのはNGO ( 非政府組織 ) です」
とラス・ワーク氏は述べる。

スイスの例

スイスに住む約7000人の女児と女性が、性器を切除されたかまたはその危険にあると推定され、そのうち1200人はジュネーブ地域を生活基盤にしている。スイス・ユニセフは、女児と女性の保護と教育に焦点を当てながら、この極度の痛みを伴う慣習に対抗するキャンペーンを長年続けてきた。スイス在住の性器を切除された女児たちはソマリア、エチオピア、エリトリア出身が大半だ。切除は秘密裏に非衛生的な環境で行われる。女児たちはスイス国外に連れ出されるか、切除のためにスイスを訪れ一時滞在をする人間の手に委ねられる。

スイス・ユニセフのアレクサンドラ・ロゼッティ氏は、スイスの看護士と医師に対してガイダンスを行う必要があり、法的状況も明確にされなければならないと言う。スイス刑法では、性器縫合とクリトリス切除という2つの切除方式のみが、重大な身体障害を生じさせるという理由で処罰可能となる行為に該当する。スイスの全州議会 ( 上院 ) と国民議会 ( 下院 ) の両方が、女性性器切除の完全禁止を求める議会主導決議を承認した。しかしそれが立法化されるまで1年から2年かかる。スイス国内で起きた女性性器切除の初の刑事裁判は、今年の3月か4月に行われる予定だ。
「もちろん法的な圧力は1つの方法ですが、それだけでは不十分です。全住民、特に関係する住民の情報がもっと必要です」
とロゼッティ氏は言う。

スイス・ユニセフは最近第4回意識統合キャンペーンを開始し、ヨーロッパとアフリカ諸国の経験を分かち合うために、2月21日と22日に女性性器切除に関する国際会議の開催を予定している。

swissinfo、サイモン・ブラッドレー 笠原浩美 ( かさはら ひろみ ) 訳

女性性器切除

28カ国以上のアフリカ諸国および中東とアジアの数カ国の文化的な伝統に深く根ざした慣習。
国際保健機関 ( WHO ) の推計では、毎年約1億~1億4000万人の女児と女性が性器切除を受けており、またユニセフは、切除を受けた主に4歳から12歳の女児は約300万人にまで上ると主張する。
女性性器の切除は、短期的、長期的にも、女性の身体、精神、生殖機能、そして新生児にまで深刻な影響を及ぼす。切除時とその直後に伴う問題は、激痛、排尿困難、炎症を含み、極端な例では失血死がある。時間を経ても、被害者は傷口の痛み、月経時の痛み、不妊などで苦しむ。また性器の切除をされた女性は出産時に大きなリスクを負う。
アフリカ諸国からの移民増加の結果、ヨーロッパでも性器切除は問題になった。オーストリア、ベルギー、フランス、デンマーク、イギリス、ノルウェー、スペイン、スウェーデンは性器切除を法律で禁止している。
ジュネーブ州では、男女間の平等を推進する州政府の部署と共同で、国際移住機関 ( IOM ) が、医療関係者と移民コミュニティーへの情報に焦点を合わせ、エチオピア、エリトリア、ソマリア、スーダンからの移民を対象にした予防プログラムを2005年に作成した。

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