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安価な化学農薬 命短し

EU諸国では、飛行機による農薬の散布は禁止される。スイスではどうするのか Keystone

欧州連合で新しく設定された農薬基準をスイスは導入する必要があるのか。スイスでの検査では、残留農薬量は世界の平均を上回ることはないことが分かっている。しかし、環境保全に理想的な状況にあるわけではない。

このコンテンツは 2009/09/05 15:25

欧州議会は今年初め、農薬の認可、販売、持続可能な使用方法などにつての新しくより厳しい基準を多数決で可決し、これに従うよう加盟各国に要求した。農作物や生物に悪い影響を与えることのないよう、環境を配慮した農業とより多くの収穫を得るための農作物の保護が新基準の目標とするところだ。

スイスの基準はEUより厳しい?

新基準は、発がん物質や、遺伝機能に障害を起こしたり、生殖能力を低減させたりする毒薬の使用を禁止し、加盟諸国に農薬使用を制限、もしくは禁止させる義務を負わせる内容となっている。

「基本的には加盟国に農薬使用の制限の義務を課すもの」
と連邦農業局 ( BLW/OFAG ) の研究・助言課長ファビオ・チェルティ氏は語る。EUはまた、農薬を制限するばかりではなく、その使用効率を上げることを目指しているという。

EU非加盟国のスイスは昨年11月、農作物・食料分野の貿易自由化についての協定を結んだ。協定は、農薬、栄養剤も対象になっている。
「貿易の自由化は取引にかかわる障害を最低限に抑えることにある。そのため、農薬の許可基準もEU基準に合わせる必要が出てきた」
とチェルティ氏は説明する。しかし、スイスの法案作りは、EU基準に対しどちらかというと慎重な姿勢にある。というのも、スイスがEUに先駆けて計画し始めた実践プログラムは、「他国がうらやましがるほど」の内容だからだという。

スイス政府の農業直接補助は、種の多様性を維持したり、農薬や栄養剤の使用を制限したりして、有機的な農法で農作物を生産する農家には手厚くなっている。
「スイスで生産される穀物の半分は、農薬や害虫を殺す細菌を使わず栽培されている」
とチェルティ氏は言う。

スイスは世界平均レベル

連邦農業局によると、スイスで使用可能な農薬の数は数百種類。「農薬活動ネットワークヨーロッパ ( Pesticide Action Networks Europe ) 」の調査によると、スイスで使われる農薬の量は1990年から15年間で4割減少し、2005年には約1400トン使用された。グリンピースの広報担当者ナディア・ベーレン氏も
「スイス政府は農薬に対し非常に慎重な態度である」と証言し、スイス政府は有機農業の促進に力を入れていることを指摘する。

一方、スイスの自然保護団体「プロ・ナトゥーラ ( Pro Natura ) 」のマルセル・リナー氏は、スイスがこうした問題に対して、EU諸国と比較してもあまり慎重ではないと批判的だ。
「河川の水が農薬で汚染されている」ことを例に挙げた。EUとスイスが比較できるデータを挙げ、ドイツやオーストリアと比較すると1ヘクタールにおける農薬使用量はスイスは2倍に上ると指摘する。このデータについて連邦農業局は、概算であり該当する統計は現在のところ無いと反論している。

「例えばミツバチの大量死が発生した際、ドイツやフランスではその原因の可能性が高いクロチアニジンが即刻、使用禁止になった。一方スイスでは、使用に慎重になるようにとの勧告が出ただけ」
とリーナ氏はスイスの甘さを挙げた。

有機栽培農家のおかげ

ところで、スイスで行われた検査によると、野菜や果物にある残留農薬はわずかしかないという。これは、スイスの農作物をグローバル基準にいかに合わせることができるかを研究する「スイスギャップ ( SwisGAP ) 」による調査で、2008年に1740品目について行われた検査では、58品目が残留農薬の基準を超え、18品目から使用禁止の農薬が見つかったにとどまったという。
「スイスの状況は、世界平均の3%から6%の許容範囲」とスイスギャップのペトラ・ジーグハルト氏は言う。

「最近数年間で数値は下がっているが、それは農薬管理が厳しくなったのではなく、有機栽培農家の認識が高くなり、より多くの知識を持つようになったおかげだ」
という。

ルイジ・ジョリオ、swissinfo.ch
(独語からの 翻訳 佐藤 夕美 )

EUの農薬新基準

低農薬栽培や有機栽培の農家の促進。
公共の場 ( 公園、花壇、競技場、校庭など ) での薬品 使用量をなるべく抑える。
農薬のスプレーはほかの方法がある限り禁止。
飲料水源の保護。
発がん物質や遺伝および生殖機能を侵すような毒薬は使用禁止。ただし、病害対策でほかの方法がない場合には許可する。
現在認可されている農薬は、認可期限が切れるまで市場で販売可能。このため、毒薬でも最長2019年まで販売され続けることになる。

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