スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
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ドイツ語圏のスイス通信社Keystone-SDAが15日報じた。同原発は定期検査のため、5月24日から発電を停止している。運営するゲスゲン・デニケン原子力発電所(KKG)はKeystone-SDAに対し、極めて広範囲に安全性を証明する必要があり、当初予定より時間がかかると語った。
安全性の証拠が整い次第、監督当局であるスイス連邦核安全監督局(ENSI/IFSN)外部リンクに提出する。同局はKeystone-SDAの取材に対し、書類の確認にどのくらい時間がかかるか見通しを示さなかった。「現時点で見積もることはできない」という。
KKGは6月25日、定期検査の終了後も発電再開は予定より遅れると発表外部リンクした。技術刷新のため給水系統の逆止弁の交換を予定していたところ、「新しい計算手法により、配管が破裂した場合に非原子力部分の給水配管システムの一部に過負荷がかかる可能性が示された」という。KKGはこれを監督局に報告した。
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スイス電力消費の13%
監督局が証拠を精査したうえで承認しなければ、ゲスゲン原発は再開できない。稼働停止に伴う金銭的損害は、運営者が負担する。
電力は通常、将来的に受け渡す電力を事前に取引する「先渡し」で売買される。このため、予定通り引き渡せなくなった電力分は、別の発電事業者から購入しなければならない。KKG広報は「その費用はまだ見積もることができない」と述べた。
ゲスゲン原発は年間約80億kWhで、スイスの電力消費量の13%を賄う。稼働したのは1979年。KKGの最大株主は40%を握るアルピク(Aipiq)。アクスポ(Axpo)、中央スイス原子力発電(CKW)、チューリヒ市、ベルン電力・水公社(EWB)が続く。
独語からの翻訳:ムートゥ朋子
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