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対EU相互条約、国民投票で可決

20日、21日の週末2日間行われた国民投票で、スイス国民は一連のEUとの相互協定を可決した。67.2%が条約支持と圧倒的な勝利をおさめた。

20日、21日の週末2日間行われた国民投票で、スイス国民は一連のEUとの相互協定を可決した。67.2%が条約支持と圧倒的な勝利をおさめた。

歴史的な国民投票だった。スイスにとって、国運を決する国民投票だった。政府および関係者一同の懸命のキャンペーンが報われた瞬間だった。

条約支持は仏語圏と独語圏では圧倒的多数だったが、伊語ティチーノ州と中部スイスのシュヴィーツ州では反対票が過半数を占めた。ドイツとフランスの2国と国境を接するバーゼル=シュタット(都市)州とバーゼル=ラント(村落)州では、支持はそれぞれ72%と71%だった。また、チューリッヒ州では70%、ベルン州では68%だった。他の独語州では55%から66%だったが、いずれも支持が過半数を超えた。

条約支持が最も多かったのは仏語圏だった。ヴォー州では80%が支持を表明し、ヌーシャテル州79%、ジュネーブ州78%だった。伝統的に仏語圏は他の地域よりも欧州指向が強い。

南部のティチーノ州では57%対43%の差で否決された。ティチーノ州民は、「人の往来(移住)の自由」協定が批准されれば、イタリア・ロンバルディア地方から安い労働力が流入することを恐れたためだ。また、0.5%以下の僅差で否決したシュヴィーツ州では、「陸上交通の自由」協定の結果欧州中の重量トラックが州を踏みにじると、州民が条約を嫌った理由による。

EUはスイス国民投票の結果に心から歓迎の意を表している。欧州委員会のプロディ会長は相互条約が圧倒的多数で可決された事について歓迎するとともに「相互条約はスイスとEUの関係を強化するものであることは間違いないが、このまま統合に向かうことを意味するわけではない。」とスイス国内に配慮するコメントをした。

今回の国民投票は条約に反対するスイスの右派勢力によって要請された。右派勢力は、条約批准はスイスの中立政策と独立を脅かすものであり、EU加盟への布石だとし反対していた。が、連邦政府、4政権政党、連邦政府、民間部門は、スイスの未来を政治的経済的に決定するものとして条約を支持してきた。5年間に及び困難な交渉の後1999年合意に達した相互条約は、まずスイス連邦議会で可決された。5月初め欧州議会が可決し、続くスイス国民投票とEU 加盟15ヶ国の国民へ条約批准を求めるシグナルを送った。

相互条約は、EU 加盟15ヶ国で批准された後、2001年1月から施行される。

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