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急に厳しくなったドイツへの入国審査の結末

ドイツの入国審査の徹底は一種の脅しとスイス政府は受け取っている。 Keystone

5日から突然、バーゼルやシャフハウゼンなどスイス北部の国境で、ドイツ側の入国審査が厳しくなった。普段なら車を一時ストップさせるだけで越境できたのが、現在は、車の列が長々と続き、出国手続きに1時間以上も待たされるようになった。

このコンテンツは 2004/03/09 19:07

急な変化にスイス政府はドイツ政府に抗議。10日になって「通常に戻す」との返事を貰い、ひとまず事態は収まった。EUに加盟しないスイスが特別に条約を結び、EU諸国に対する不利な立場を是正しようとしている中、いくつかの項目についての交渉が難航しており、今回のドイツの措置は、一種の「脅し」と見られている。

シェンゲン条約は、EU諸国内での人の行き来を自由にする一方で、EU外からの入国については引き締めるというもので、EU非加盟国のスイスにも大きな影響をもたらす。スイスは同条約に加入すべく、EUに働きかけている最中で、今回のドイツの措置に当惑。早速、ドイツ政府と話し合いが持たれ、通常化されることになったが、根本的な問題の解決までの道のりは長いようだ。

スイスとEUとの交渉が難航しているのが理由か

ドイツ国境警察(BGS)は、「これまで、シェンゲン条約があるにもかかわらず、スイスからの入国審査が甘すぎた」と今回の入国者への対応の変化を説明した。EUに加盟しないスイスは、EUと特別な条約を結ぶことで、なるべくEU諸国と経済面、外交面で対等になろうと交渉している。空・陸交通問題、農作物の貿易条件、人の行き来の自由など7項目についてスイスとEUが合意し、スイス国民の批准も経て、2002年6月1日発効した。現在は、第二の協定を結ぶべく難民受け入れ審査の協調、密輸対策の協力など10項目にわたってEUと交渉中である。

今回一時的に、ドイツへの入国審査が急に厳しくなったのは、スイスが銀行の守秘義務を固持したことに対する「報復」とも見られている。スイスにとって銀行の守秘義務の撤廃はどうしても受け入れられない聖域。撤廃の代わりに、外国人がスイスの銀行に預けたお金の課税については、銀行が源泉徴収して顧客の出身国へまとめて納税することや、犯罪に関わる資金については、必要とあれば顧客の情報も開示するとEUと同意していたはずだった。

一応の和解が成立

チューリヒ国際空港に発着する飛行機のルートの変更問題や正式な通達もなくスイスからの再輸出貨物に対して課税すると決められるなど、スイスとドイツおよびEUとの関係は最近、微妙になっている。

ドイツのハンス・アイヘル財務相は9日、ブリュッセルでスイス国営テレビの質問に応じ、スイスに預けられたEU諸国からのお金の課税問題に触れ、「脅すつもりはまったくないが、(入国審査を厳しくし)スイスが態度を変えることを期待する」と明らかにスイスとEUの第二交渉に関連したドイツの措置であることを認めたため、スイス政府も不快感を隠さなかった。

スイスのハンス・ルドルフ・メルツ財務相は「今回のドイツの態度は、話し合いで問題を解決すべき関係にある隣国に対する方法ではない」と厳しく批難し、早々にもドイツとの話し合いの場を設けるよう働きかけると国民に約束。10日には在ベルリンのスイス大使がドイツ・オットー・シリー内相と会談し、スイスのミシェリン・カルミレ外相はヨシカ・フィシャー外相と電話でこの問題について話し合った結果、即刻の入国審査の通常化が約束された。さらに、午後には、スイス外務省が「EUとの交渉が難航していることが理由ではない」との声明を発表し、ドイツの「脅迫」の意図は公式に否定された。

国境付近に住むスイス人の多くが、ドイツの安価な商品を求め、越境して買い物をする。しかし、一時間も待たされるのならごめんだと買出しは控えられ、ドイツ側の国境付近に出店しているスイスの大手スーパーのミグロでは売上が下がったという。

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

Fakten

シェンゲン条約

EU諸国の人の行き来の自由の保証。
EU外諸国の人の行き来は厳しくコントロール。
EU非加盟国のスイスは、シェンゲン条約に加盟したい意向。
ドイツとの通関は90箇所に上る。

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補足情報

5日からドイツはスイスからの入国審査を厳しくした。特にバーゼル付近の国境では車の長蛇の列ができている。
ドイツの措置は直前になってスイスに通達された。
入国審査があまりにも簡単すぎた、とドイツ国境警察は理由を述べている。

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