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意見:論点を見失うキャンペーン

国連加盟支持派(左)と反対派(右)のポスター Keystone

ジュネーブの国連欧州本部に勤務し長年スイス政治のオブザーバーである英国人ゴードン・マルティン氏が寄せた、スイスの国連加盟を問う国民投票と賛成・反対両派のキャンペーンに関する私見を紹介する。(以下、氏の文章より)

このコンテンツは 2002/02/27 10:36

海外メディアでは、スイス政治は偏狭、不適切、退屈、何でも予想通りと、すこぶる評判が悪い。が、今度の日曜日に行われる国連加盟をかけた国民投票を前に繰り広げられているポスター戦争では、退屈なものや予想可能なものは何もない。14年間スイス政治を監察してきた私も、結果について賭けはしたくない。チューリッヒの実業家であるクリストフ・ブロッハー(国民議会議員)率いる加盟反対派が、扇動と人目をひくスローガンで加盟推進派に打撃を与えていることは疑いがない。加盟推進派による道徳的で高潔なトーンの比較的活気がないキャンペーンよりも、反対派のキャンペーンの方が間違いなく優勢だ。

ブロッハー氏は、野蛮で、ポピュリスト、利己主義な恐竜だと見られている。が、私は、この国で最も有能なコミュニケーターの1人であるブロッハー氏をそのように過小評価することは間違っていると思う。スイスではコミュニケーション能力の高い人が極めて少ないのだ。彼は、議論の中心にあるスイスの中立問題に集中して攻勢をかけている。ブロッハー氏の議論は、国連加盟はスイスの最も重要な主義・中立を侵害するというもので、彼のポスターは斧が「中立」の文字を断ち割っている。彼は、政治的な - 「人道的」に反して - 国連への加盟は、スイスを国連安全保障理事会の強権の従僕におとしめ、ベルンの連邦政府は安保理の命令のもとに制裁適用や軍派遣を強要されると主張する。

ブロッハー氏のメッセージは大きな反響を得るが、最善でも人を過って導くもの、最悪では完全に間違っているものだ。ブトロス・ブトロス=ガリ前国連事務総長と最近話したが、加盟国は意に反するときはいかなる国際行動にも加わるよう強制されることはないと教えてくれた。が、国連加盟を熱望するスイス政府は、このブロッハー氏の持論を粉砕する攻めをほとんどしていない。外国人のオブザーバーは皆同意すると思うのだが、私はスイス国民が86年の国民投票で下した国連には加盟しないという決断を覆す時が来たと思う。あれから16年、スイスにとって189ヶ国が加盟する国際機関の外部に留まっても意味はなくなった。経済的・財政的な影響を発揮する国として、スイスが国連の意思決定過程で発言権を持つことは、スイスの国益にかなうことだ。

ニューヨーク国連本部のイェンス・ステヘリン・スイス代表は、国連でのオブザーバーとしての彼の立場は、他の全員がコンピューターを持っているのに自分1人が古いタイプライターを使っているような気分になると語った。3月3日の投票結果がどのようなものであろうと、他国はいつも通り冷淡に反応するだろう。可決されたら、欧州の隣人達はじめ友好国から歓迎されることは確実だ。否決されたら、スイスの孤立が深まり存在感は薄れ、「チューリッヒの小鬼たち」の風刺(注・チューリッヒの金融業者の風刺)に加え、スイス人はひとりよがりの自己陶酔者だとの印象を確実なものとするだろう。

パレ・デ・ナションの私のデスクからジュネーブを見渡す時、私は国連欧州本部のある国が国連加盟国ではないという矛盾を思い起こさせられる。

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