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第60回ロカルノ国際映画祭

「ピアッツア・グランデ」はロカルノ国際映画祭の代名詞 Keystone

8月1日から11日まで、スイス南部ロカルノ市で国際映画祭が開催される。「金豹賞」を競うメインコンペティションには小林政広監督の「愛の予感」ほか、アンソニー・ホプキンズが監督し出演する「スリップストリーム」など19本が参加する。

約30カ国が参加し、メインプログラムでは80本の映画が上映される。今年は60周年にあたり、特別イベントも多い。

 ヨーロッパの映画祭といえば、ベネチアやカンヌが有名。両映画祭には、世界的に有名な監督や人気スターが集まることもあり、注目度が高い。一方、ロカルノ国際映画祭はその歴史から2つの有名映画祭に引けを取らないものの、映画の持つ1面である華やかさに欠けると指摘されてきた。

60周年記念のイベント

 しかし今年は、60周年を意識した企画が目を引く。開幕には、日本のアニメーション映画「ベクシル2077年日本鎖国」( 曽利文彦監督 ) が日本上映に先駆けて大広場「ピアッツァ・グランデ」で上映される。ピアッツァ・グランデには26×14メートルの巨大スクリーンが設置され、8000脚の椅子が並べられる。毎晩、日が落ちた屋外で上映される趣向で、ピアッツァ・グランデはロカルノ映画祭の代名詞ともなっている。

 ピアッツア・グランデで上映される17本のうち、「ボーン」シリーズの第3弾「ボーン・アルティメータム」 ( ポール・グリーングラス監督、マット・デイモン主演 ) など7本のアメリカ映画がプログラムに組み込まれた。独立映画プロダクションの作品が中心のロカルノ映画祭としては、異色の選択である。集客目的もあるのだろう。ジョン・トラボルタを招待したが、断られたという。しかし「アンソニー・ホプキンズがロカルノを訪れる可能性もある」と主催者側は期待している。

ロカルノらしさを残して

 今年は、ロカルノがその映画人生で重要な意味を持った監督の映画を集め、映画祭の歴史を語る「ロカルノの回顧集」のほか、途上国の映画振興を目的とする「オープンドアーズ」や、イタリア映画の女性に焦点を当てた「シニョーレ&シニョーレ」も期待される特別企画である。また、最新の映像技術を使い実験的な映像を集めた「プレイフォアード」には、日本から「イメージフォーラム」が参加する。

 日本映画界とも密接な関係にある中華民国 ( 台湾 ) の侯孝賢 (ホウ・シャオシェン ) 監督 (「悲情城市」 (1989年ベネチア映画祭グランプリ受賞作 ) 、「珈琲時光 ( コーヒーじこう )」) など ) の名誉賞受賞はすでに決定。7日にはパネルディスカッションに参加する。また、優秀賞 ( Excellence Award ) にスペインの演技派女優カルメン・マウラ ( Carmen Maura ) ( 「ボルベール <帰郷>」など) と、フランスの代表的男優ミッシェル・ピコリ ( Michel Piccoli ) ( 「美しき諍い女」など ) の受賞もすでに発表されている。
 
 芸術性に重きを置き、異色映画やマイナーな映画を中心としてきたロカルノ国際映画祭の今年の新しい試みは、観客や専門家にどのように評価されるだろうか。19人の審査員が選出した4つの主要賞と、その他数々の賞が発表されるのは、8月11日となる。

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

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