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新たに2つ、ユネスコ世界遺産

人気の高いレーティシュ鉄道の旅 swiss-image

国際連合教育科学文化機関 ( Unesco、ユネスコ ) の世界遺産委員会は7月7日、スイスにある名所2カ所を新たに世界遺産として登録した。

今回世界遺産に指定されたのは、レーティシュ鉄道のアルブラ線とベルニナ線およびグラールス押しかぶせ断層だ。これでユネスコから特に保存の価値があると認められたスイスの文化遺産や自然遺産は合計9つとなった。

4つ目の「世界遺産鉄道」

 レーティシュ鉄道 ( Die Rhätische Bahn ) は世界遺産に指定された4つ目の鉄道だ。これまでオーストリアのセンメリング鉄道、インドのヒマラヤのふもとを走るダージリング鉄道、そして同じくインドの南部を走るニルギリ山岳鉄道が登録されている。

 ユネスコが世界遺産として認めるのはレーティシュ鉄道のインフラのみでなく、鉄道が走る中心区域のほか文化や自然を取り巻く3つの地帯も含まれる。連邦内務省文化局 ( BAK/OFC ) はレーティシェ鉄道の世界遺産登録をグラウビュンデン州やスイスにとってまたとないメリットだとみているが、「ユネスコ世界遺産レーティシュ鉄道協会」は同時にこれから鉄道やこの区域の維持と永続的な利用に力を入れなければならない。

アルプスの形成を観察

 もう1つの世界遺産となったグラールス押しかぶせ断層はザンクトガレン州、グラールス州、そしてグラウビュンデン州にまたがって延びている。ピッツ・サルドナ ( Piz Sardona ) を中心としておよそ300平方キロメートルに広がるこの地域は、どこよりもアルプスの形成をよく観察できる場所だ。褶曲 ( しゅうきょく ) 作用によって約1億5000万年という非常に古い岩層がもっと若い層の上に重なっており、ナイフのような鋭いラインにこの様子がよく表れている。

 7月7日にはこのスイスの両地域のほか、世界の11カ所が世界遺産に指定された。その中には20世紀初頭に建てられたベルリンの6つの住居区も含まれる。これらは1913年から1934年の間に社会住宅として建てられたもの。

 タイとカンボジアの国境地域に数百年前に建てられたヒンズー教のプレア・ヴィヒア寺院もまた世界遺産として登録された。この寺院は長い所有権争いのあと、デン・ハーグの国際司法裁判所によって1962年にカンボジアの所有物と認められた。しかし、タイは今でもこの判決を受け入れていない。
 
 日本政府が推薦していた岩手県「平泉の文化遺産」は、価値の証明が十分になされていないという理由で今回は登録を認められなかった。現在世界には、850を超える文化および自然遺産が登録されている。

swissinfo、外電

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