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日本に進出するスイスの文化 プロ・ヘルヴェティア文化財団理事長に訊く

「財団の使命は、両国の芸術家の交流促進」 オフィスはチューリヒ市内にある古い富豪の邸宅を改築したもの。タイル製の暖炉の前でピウス・クヌーゼル理事長。

(swissinfo.ch)

プロ・ヘルヴェティア文化財団は来年春に開催される愛知万博に合わせ、「04-06スイス・コンテンポラリー・アート・イン・ジャパン」と題する文化活動を日本各地で展開する。

今年10月からすでに、両国の音楽家グループによるコンサートツアーが始まり、金沢21世紀美術館の開館記念展にスイスの現代芸術家が出品した。今後、マンガ、服飾、家具などが紹介される予定。10月に日本を訪問したピウス・クヌーゼル理事長に同財団の活動や日本との協力関係について聞いた。

———「04-06スイス・コンテンポラリー・アート・イン・ジャパン」がプログラムでプロ・ヘルヴェティア財団はスイス文化のどのような面を紹介したいと思っているのでしょうか。

 現代芸術です。その中でもビジュアルアートを集中的に紹介しようと思っています。絵画、彫刻のほかにマンガなどビジュアルアートなら、言葉の問題もあまりありません。受け入れ側の日本の美術館のレベルも高いので、満足できる企画が可能だと自負しています。

———現代芸術に限った理由はなんですか。

 わたしたちの財団の全体の方針です。財団の活動の9割以上が、いま活動しているアーティストたちを援助することにあるからです。そうすることで、日本に限らず、外国のアーティストたちとの交流を深めることができると思うからです。

———日本ではあまり知られていないアーティストの作品が紹介されるプログラムですね。

 そうですね。たとえば、現代舞踊では世界的に有名なモーリス・ベジャールなどを、財団が愛知万博というせっかくの機会で紹介する必要性は低いと思っています。せっかく愛知という機会があるのですから、質は高いが新しく、日本ではあまり知られていない芸術家を紹介し、両国の芸術家たちの交流ができればと思っています。

———スイスという国自体が小さく目立たない上に、あまり知られていないアーティストを紹介して、はたして日本人が注目するかという疑問があります。

 わたしたちはスイス観光局ではありません。たとえばフランスが中国で、フランスの文化フェスティバルを行い、有名歌手のコンサートには大勢の観客が詰め掛けたそうです。しかし、われわれはこうした催しものには興味がないのです。
 われわれの使命は、スイスのアーティストを日本に「売る」という行為ではなく、これは、と思われるアーティストを日本のアーティストに紹介し、両者がアイディアを交換するなどして交流を深めることにあるのです。結果的に対象は、文化に興味のある、限られた人たちになってしまうかもしれません。

———日本と仕事をする際の難しさはありましたか?

 わたしたちの財団がこのプロジェクトをここまでもっていくために、日本とは他の国とはまったく違う方法で仕事を進めていかなければなりませんでした。
 財団のプロジェクトを日本の美術館に提示しても、日本人の仲介者がいないと話がまったく進まないのです。たとえばスイスのマンガを紹介する「コミック大国スイス」展では、日本人の漫画の大家を通した途端、話がまとまりました。スイスもある程度コネが必要な社会ですが、これほどではありません。交渉相手の日本の美術館とは直接関係のない「ご意見番」のような人の仲介を取り付けるのに苦労しました。

———スイスの現代アーティストの特徴はどういったところにありますか。

 とても詩的であり、自分を皮肉っぽく見ているということでしょうか。

 詩的というのは、選びぬかれたごく少ない素材で無の空間からストーリーを作ってしまうことです。
 皮肉ということでは、今回日本で紹介されたアーティストのピピロティ・リストは自分を皮肉っぽく見るアーティストとして代表的な存在です。スイス人の気質として「うっかりしていたけれど、わたしはスイス人だったよ」といった、スイス人であることに対するコンプレックスがあるのです。この「うっかり」というところが皮肉ですよね。以前のアーティストだったら、このコンプレックスを「痛み」として直視したものでしたが、いまのアーティストは皮肉にこれを捕らえ、逆に創造力をたくましくしています。
 現在、スイスの国旗である白十字が積極的にファッションなどに取り入れられていることも、愛国主義からではないのです。

———プログラムが終了する3年後に財団が期待することはなんでしょうか。

 巨匠ばかりではなく、われわれは様ざまなスイス人アーティストを大切にしてることを日本に分かってもらいたいですね。このプログラムが終わっても、日本がさらなるスイス人アーティストを招待するようになり、両国の文化交流が深まることを期待したいと思います。
 先ほども言ったように、財団の使命は観光局とは違い、スイスの知名度を上げることではないのです。しかしながら、「ハイジの国スイス」といった固定化されたイメージが財団の活動によって、微力ながら修正されることを望みます。

スイス国際放送 聞き手 佐藤夕美 (さとうゆうみ)


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