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日本のテディがチューリヒを観光する夏

鯉の模様をテディベアに描くための下準備。日本のテディベアが5匹、チューリヒの街を散歩する今年の夏。 swissinfo.ch

この夏5月23日から9月18日まで、チューリヒ市はテディで埋め尽くされる。思い思いのデザインが施された1.5�bの親熊や80センチの小熊など3種類のグラスファイバー製の置物が、街のいたるところ置かれ「テディ・サマー2005」が繰り広げられる。

チューリヒの商店街協会が中心となり、観光の呼び物として89年に始まり、毎回テーマを変え、いまや市にすっかり定着した企画だ。

テディ・サマー2005には企業や個人が、白い原型のテディを買って色などを塗り、街に飾って参加する。チューリヒ観光局もこの企画に参加。日本風のテディベア5頭をチューリヒの中心地に置くことにした。日本からアーティストを招聘したが、選出には多摩美術大学の協力を得た。1986年にはライオン、98年には牛、2001年にはベンチのオブジェだった。終了後はオークションにかけられるが、これまでも海外からの買い注文があったり、外国の都市が同じ企画をするなど、国際的に有名になった。

おにぎりベアに鯉ベア

 昨年10月、チューリヒ観光局は日本の多摩美術大学の学生に呼びかけ、日本でテディに施すデザインコンペを開催。集まった120のデザインの中から、今年1月の選考会で、5つのデザインが選ばれた。2月22日から3月3日までのおよそ10日間、チューリヒの美術学校の一角を借り、5人の多摩美大生がそれぞれのアイディアを、3種類の白い熊の原型上に再現していった。

 コンペでのデザインは日本がテーマと決められていたので、鯉の模様を背中に背負ったテディや、本物の米を貼り付けおにぎりに見立てたテディ、桜の花びらを散らした和菓子をイメージしたものや青葉から紅葉に至るまでのもみじの葉を散らしたものなどがある。

 かすり模様のテディは、紺の部分が自動車の形をしている。「車社会のいまの日本とかすり模様で代表される伝統の日本の混合を表現したかった」と作者の北原美菜子さんは、自分の作品を説明する。

 秋のオークションで売られる5頭の収益は、スイス国内の恵まれない子供たちに寄付されることになっている。

チューリヒ観光局と日本

 チューリヒ観光局によると、日本人観光客は89年にのべ宿泊数で11万6,000泊の最高を記録して以来、減少し、04年は7万泊だった。「インドや中国からの観光客は増えているが、1泊につき500フラン(約4万5,000円)のお金をチューリヒに落としてくれる日本人観光客は、大切なお客様だ。今回の企画に協力的だったことも日本をコンペのテーマに決めた一つの理由」とチューリヒ観光局のフランク・ブマン氏は語る。

 テディをチューリヒ市内に飾りたい人は3月15日までに、原型の白いテディを注文することができる。親子熊、座っている熊、立っている熊の3種類で、親子は2,350フラン(約21万円)、1頭は1,950フラン(約17万円)。自分でデザインすることもできるし、アーティストに頼むことも可能。作品の提出締め切りは4月20日。最終的には600頭以上がチューリヒの街を「占領」することになりそうだ。

swissinfo 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

テディの原型
親子 2,350フラン
座っているベア1,950フラン
立っているベア1,950フラン
3月15日まで販売。
5月23日から9月18日まで市内に展示される。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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