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日本人とスイス人Part1 ~在スイス9年目の視点から~  



駅周辺には伝統を感じさせる重厚な古い建物がズラリと並ぶ。駅前にモダンなビルが立ち並ぶ日本とは正反対の雰囲気。  

駅周辺には伝統を感じさせる重厚な古い建物がズラリと並ぶ。駅前にモダンなビルが立ち並ぶ日本とは正反対の雰囲気。  

(swissinfo.ch)

「スイス」のイメージといえば、お馴染みなのはハイジ、チーズ、チョコレート。では「スイス人」と言うと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるだろうか?今回は、スイス在住9年目に突入した私の視点からPart1、Part2の2回に分けて、スイス人と日本人を比べてみたい。

 こちらに来た当初は言葉のみならず、文化や生活習慣の違いにも戸惑うばかりだった。例えば食文化の違い。スイスには海がなく牧畜が盛んだから仕方がないのかもしれないが、スイス人は肉や乳製品をよく食べる。一週間に食べる肉の平均の肉量は約1kg。毎日肉を食べる人も多く、料理に使うソースはバターや生クリームがたっぷり入ったコッテリ系が主流。加えてチーズやチョコレートも沢山食べるので、日本人に比べるとかなり摂取カロリーはかなり高い。ちなみに、私がスイスに来て初めて食べた昼食はセルベラ(豚肉ソーセージ)で、主食として手のひらぐらいある大きなソーセージを食べること自体が初体験でとても驚いた。こちらに来てから、確実に中性脂肪とコレステロールの値が上がっているので注意したい。

(swissinfo.ch)

 食文化の他に、慣れるのに時間がかかったのがレストランでのチップの習慣。きっと日本人なら誰もが、初めて海外旅行でチップをうまく渡せずに戸惑ったりした経験があるに違いない。チップを“いつ”“どんな風に”“いくらぐらい”渡せばいいのかは、チップを渡す習慣のない日本人にとっては、結構悩みの種なのである。実はスイスでは、既に請求額にサービス料金が含まれているのでチップを渡す“義務”はないのだが、ほとんどの客は習慣上、サービスに満足ならばチップを渡すのが普通である。チップには潤滑油的効果があるから、渡した方が気分よく店が出られるのも確かだ。大体目安としては総額の10%~20%ぐらいだが、これも不文律。日本の様に最後に客がレジに伝票を持って行くシステムではなく各テーブルで支払うので、店が混雑しているとウエイトレスが中々来てくれず、急いでいる時には結構イライラすることも多い。以前、30分近くも待たされてとても不愉快な思いをしたことがあり、その時は全くチップを渡さずに店を出た。

(swissinfo.ch)

 他に苦労したのは、挨拶のキスの習慣だった。ヨーロッパでは左右の頬に2回するのが普通だが、スイス(特にドイツ語圏)では左・右・左と3回もする。だから挨拶する人が多いと結構大変である。3回もキスをする理由は、ホスピタリティ(歓待の精神)から来ていると聞いたが、真相は不明。しかし、ごく親しい間柄になると1回だけに省略する場合もあるし、男性同士はハグ(抱擁)や握手だけですませることが多いから、これも全くの不文律で性別や年齢、地域によって違いがあるようだ。日本人ならほとんどの場合、会釈一つだけですんでしまうので、日本式の方が正直なところ楽だなと思う。

(swissinfo.ch)

 メンタリティに関して言うと、スイス人と日本人は結構似ている部分が多い。例えば、やや保守的で完璧主義、時間に正確、綺麗好き、約束をきちんと守る、遠慮がちで目立つことを嫌う、友人になるのに時間がかかる、等は共通だ。もしかしたら、その一因としてスイスという国が小さいことが(九州ほどの大きさしかない)関係しているのかもしれない。というのも、ヨーロッパに真ん中にありながら政治的、歴史的には“陸の孤島”的存在のスイスと、四方を海に囲まれた島国日本は、環境的にやや似ているからだ。閉じられた小さな共同体の中で周りの人達と調和して快適に生きていくためには、先にあげた責任感や、信頼感といった要素はとても大事である。友人になるのも、アメリカ人のように「ハロー、兄弟!」と出会ってすぐに仲良しにはなれず、時間をかけて共通体験を重ね、お互いの信頼感を築いてから、だんだん仲良くなっていくというプロセスをとる。そのスピードは日本人とよく似ていると思う。

(swissinfo.ch)

 では、スイス人と日本人との相違点とは何だろう?第一に、スイス人は古くても品質のよいモノを長く保存し、その価値を認めて大切にしようとする意識が日本人より高いと感じる。例えば、質のよい古い家具や道具を、何度も修理に出して親子代々で何十年も使い回したりする。隣人の女性は、何と彼女のお祖母ちゃんが使ったベビーベッドに自分の子供を寝かせている。日本人が新しいモノや異質なモノを柔軟に(時には無節操に!)取り入れて、古いモノの形をどんどん作り変えていくのに対して、スイス人は、古いモノの形を変えずにそのまま残し、伝統を守り続けていくような“頑固な職人”的要素を未だに多く残しているようだ。

 だから、スイスの各市町村に存在する古い街並みに関しても然り。自分達の街の歴史と伝統に大きな誇りを持っているので、新しく家を建てたり増改築したりする場合には、その古い街並みの景観を守るために、必ず役所に申請して住民の同意を得なければならない。中には、屋根の形や高さ、窓の形や大きさ、壁の色に至るまで厳しい規則がある村もある。そう言えば、以前札幌に行った時に、雑居ビルの谷間に不釣り合いに建っている「時計台」を見て、実にガッカリした思い出がある。スイスだったら、きっとこうはならなかっただろう。

 この他にも、スイスに暮らすようになってから初めて見えてきた日本人やスイス人の姿が沢山ある。それらについては、じっくりとPart2でご紹介することとしよう。

森竹コットナウ由佳

 

プロフィール:森竹コットナウ由佳

2004年9月よりチューリヒ州に在住。静岡市出身の元高校英語教師。スイス人の夫と黒猫と共にエグリザウで暮らしている。チューリッヒの言語学校で日本語教師として働くかたわら、自宅を本拠に日本語学校(JPU Zürich) を運営し個人指導にあたる。趣味は旅行、ガーデニング、温泉、フィットネス。好物は赤ワインと柿の種せんべいで、スイスに来てからは家庭菜園で野菜作りに精をだしている。長所は明朗快活で前向きな点。短所はうっかりものでミスが多いこと。現在の夢は北欧をキャンピングカーで周遊することである。

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