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欧州評議会議長国

スイスが議長国として最も力を入れたいのは、人権問題。欧州人権裁判所の能率化向上 Reuters

スイスは11月18日、欧州評議会の閣僚委員会の議長国となり、フランスのストラスブルクではスロベニアのサミュエル・ジュボガル外務相からミシュリン・カルミ・レ外務相への引き継ぎ式が行われた。議長は加盟国47カ国が6か月ごとに持ち回る。

引き継ぎ式でカルミ・レ外務相は、欧州人権裁判所の改革を最優先事項として挙げ「人権裁判所は現在の能力を上回るような重要な問題の解決に直面している」と語った。現在、欧州人権裁判所は10万件以上の裁判を抱えている。

人権問題を重視

 こうした問題を話し合うためスイスは、加盟国を来年2月にインターラーケンに招待し、会議を開催する予定になっている。カルミ・レ外務相はスイスでの会議で、加盟国の47カ国が欧州人権裁判所の長期的な方向付けをすることを期待しているという。さらに、議事録第14条の批准に向けて努力したいとも語った。14条は裁判の短期化を図る内容だが、これまで裁判所の判決に最も多く反対してきたロシアが14条の調印を拒否し続けている。

 このほかスイスは、欧州評議会 ( Council of Europe ) のスリム化と能率向上を目標と掲げている。「欧州評議会はその核となる問題の解決には必要だ」とカルミ・レ外務相は語った。核となる問題とは人権の向上と法治国家の強化をいう。
「スイスはたとえ反対にあっても、この2つの目標に集中する努力をする」
 と発言した。こうした発言の背景には、ロシア、トルコ、イタリアはヨーロッパの多様性やスポーツに力を入れたいというスイスとは別の意向があるためだ。

 閣僚委員会は5月に年次総会があるが、各国の常駐大使による閣僚代理会合が毎週開催される。閣僚委員会は条約や勧告の採択や予算の承認などを行う。議長国は加盟国の持ち回りで英語の国名でアルファベット順となっている。スイスの議長国就任を祝い、今月19日と20日にはベルンに常任国が招待されている。

swissinfo.ch、外電

フランス、イタリア、イギリス、ベルギー、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイルランド、ルクセンブルク ( 以上原加盟国 ) 、ギリシャ、トルコ ( 1949 ) 、アイスランド ( 50 ) 、ドイツ ( 51 ) 、オーストリア ( 56 ) 、キプロス ( 61 ) 、スイス ( 63 ) 、マルタ ( 65 ) 、ポルトガル ( 76 ) 、スペイン ( 77 ) 、リヒテンシュタイン ( 78 ) 、サンマリノ ( 88 ) 、フィンランド ( 89 ) 、ハンガリー ( 90 ) 、ポーランド ( 91 ) 、ブルガリア ( 92 ) 、エストニア、リトアニア、スロベニア、チェコ、スロバキア、ルーマニア ( 93 ) 、アンドラ ( 94 ) 、ラトビア、モルドバ、アルバニア、ウクライナ、マケドニア ( 95 ) 、ロシア、クロアチア ( 96 ) 、グルジア ( 99 ) 、アルメニア、アゼルバイジャン ( 2001 ) 、ボスニア・ヘルツェコビナ ( 2002 ) 、セルビア ( 2003 ) 、モナコ ( 2004 ) 、モンテネグロ ( 2007 )

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